ページコンテンツ
第二章 製麺機についての知識不足が招く落とし穴!~選定に失敗した人々の悲劇~の続きです。
日本における製麺機の歴史は明治初期に始まり、本格的に普及が始まってから既に100年以上経過している。初期には店舗用がほとんどなく、工場用製麺機として出発した。この頃の製麺機は今の様に手打ち式製麺機ではなく、ロール式製麺機が主体だった。
現在も工場用製麺機はロール式製麺機が主流だ。工場用ロール式製麺機は大きいものでは、時間当りの生産能力が1万食を超えるものもある。
ロール式製麺機のメーカーは、「工場用の大きな製麺機(生産能力、時間当たり1,000食以上)を中心に製造するメーカー」と「店舗用の小さい製麺機(時間当たり100食~500 食程度)を中心にするメーカー」に分かれ、現在では製麺機のメーカーもかなり淘汰された。大型製麺機、小型製麺機のメーカーはそれぞれ、10数社程度と推定される。
手打ち式製麺機が出現したのは第2次世界大戦後で、讃岐うどんの本場香川県で誕生した。
ロール式製麺機では、手打ちうどんのようなおいしいうどんができなかった。もともと香川県は讃岐うどんの本場として手打ちうどん作りが盛んであったために、おいしいうどんを作るために「手打ちの技術をそのまま機械化に置き換えたような製麺機」の開発が盛んに行われた。
最盛期には5~6社のメーカーが存在したが、今は3社程度に絞られている。手打ち式製麺機はロール式製麺機に比べると、メカニズムが複雑なために自動化が遅れた。しかし、38年前には既に当社が完全自動の手打ち式製麺機を開発し、大きな能力のものは時間当たり6,000食程度の完全自動の無人化ラインも可能になっている。
香川県以外で主に手打ち製麺機を作っているのは関東地区だ。ここにも現在数社が残っていて、もともとの麺の盛んな場所の近くで製麺機メーカーが残っている。
ロール式製麺機
ロール式製麺機は明治の初期に出現し、手打ち式製麺機の2倍以上の歴史を持つ。ロール式製麺機の構造は大きく分類すると、次の3つの部分より構成されている。
- 小麦粉と水をかくはんする機能のミキサー部分
- かくはんした麺生地を麺の帯に成型してから所定の厚さに圧延する圧延ロール部分
- 所定の厚さの麺帯を細くスリットし、所定の長さにカットするカッター部分
ロール式製麺機の一番の特徴は麺生地の圧延が一方向であることで、一般的には手打ち式製麺機の様に加水も多くなく、通常の加水は最低で25~26%、最高で40%が限度だ。
現在ロール式製麺機はラーメンの製麺の大半と一部のそばの製麺に使われている。ロール式製麺機は、麺線の切断が簡単で早いので、比較的細い麺すなわち、ラーメンとかそばの製麺に使われる場合が多い。
麺質では九州ラーメンの様に少加水で硬い麺は、ロール式製麺機でないと製麺ができない。従って、比較的加水が少なくて、細くて硬い麺の製麺に適しているのがロール式製麺機と言える。この様な麺は手打ち式製麺機が一番苦手な分野だ。
今後の方向性として想像されるのはロール式、手打ち式ともデジタル化の方向へ、さらにネットにつながる方向へ向かうことが考えられる。ロール式製麺機は素人が使っても安全で清潔で使い易い方向に、手打ち式製麺機は麺質では手打ちをはるかに超える方向へと向かうことが想定される。今回は、この後はロール式製麺機に絞って、考察を加えていきたい。
第四章 製麺機選定の重要ポイントに続きます。