麺の調理で一番大切なのは水です。麺の調理に使いたい水は、軟水です。簡単に説明すると軟水とは
ラーメンは、かごの中で一人前ずつ調理されています。

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さて、ここまででラーメン作りの全工程を説明しましたが、美味しいラーメンを提供するためには、もう一つ、ラーメンを正しく調理・茹でるということを理解しておく必要があります。


美味しいラーメンを提供するためには、この工程が非常に重要です。

麺の茹で加減は非常に重要で、いくら美味しく作れても茹で方を間違えると台無しになります。

軟水と硬水の違い、カルシウム、マグネシウム
麺から塩分やかん水が抜け、代わりにお湯を吸収します。

まず、麺の調理で一番大切なのは水です。麺の調理に使いたい水は、軟水です。
軟水、硬水って何という方もいるかもしれません。


簡単に説明すると軟水とは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含まないか、少ない水のことです。


硬水はその逆で、ミネラルがたくさん含まれている水です。

硬水で麺を茹でると、麺に水分が浸透しにくく、茹で時間が長くなり、茹でた麺が熱いスープの中で早く柔らかくなってしまいます。


また、茹で時間が長いと、歩留まりが悪く(麺が湯に溶けてしまう)、麺の表面が荒くなり、芯と表面の麺の状態の差が大きくなり、麺の食感が悪くなります。


しかし、調理水に軟水を使えば、硬水よりも強い浸透圧を利用することができ、調理時間を短縮することができます。

ゆで汁に麺を溶かした際の麺のpH値との相関関係
調理水が中性の場合、調理水に溶け込んだ麺が大量に失われる。

さらに、茹でた麺の品質に影響する調理水のpH値も確認する必要があります。


過去に、異なるpH値で麺を茹でたときに、茹で上がった麺がどの程度調理水に溶け込むかを比較するテストを行ったことがあります。

ここで、このグラフを見てみましょう。右の図は、調理水のpH値と調理水に溶けた麺の割合を示しています。


pH7(中性)では麺が多く溶け、pH9~10(弱アルカリ性)では麺が少なくなることが分かりました。

また、ラーメンに使われている「かん水」は、調理水を弱アルカリ性にすることで、麺が調理水に溶け出すのを防いでいることが分かります。

しかし、ラーメンの調理回数を重ねると、調理水のpHが上昇したり、アルカリ性になったりするため、調理水に溶け出した麺が多くなってしまいます。

そこで、麺の茹で上がりを良くするために、ある一定のタイミングで調理水を綺麗な水に変える必要があります。

麺を効果的かつ効率的に茹でるには、水が軟水かつ、弱アルカリ性であることがわかりましたね。

しかし、実際に麺を茹でるにはどうしたらいいのでしょうか?麺の茹で方を順を追って紹介します。


知識のある人にとっては、これから説明することは常識かもしれません。

でも心配しないでくださいね。料理人であっても、麺の正しい茹で方を知らない人にたくさん出会ってきました。

軟水をたっぷり入れた大きな鍋を用意しよう。

目安としては、これから茹でる麺の重さの10倍は入る大きさであること。

少量の水で麺を茹でる場合、麺を投入すると麺が調理水の温度を下げてしまい、うまく茹で上がらない。

麺を美味しく茹でるには、お湯の温度が沸騰するくらいに高くなければなりません。(沸騰している状態でないとダメなんです。)


また、麺を数回茹でただけで、すぐに茹で汁が濁る(茹で汁にかん水が出る)。

そのため、大量の煮汁を用意することが重要です。

ラーメンの麺調理器

1. 調理鍋を用意する

まず、沸騰したお湯に麺を入れ、麺が固まらないように箸で素早くかき混ぜます。

麺を入れたまま何もしないと、麺同士がくっつきやすくなり、麺全体に熱が伝わりにくくなります。

沸騰した状態を続けると、麺同士がぶつかってしまい、麺の表面が荒れてしまうことがあるので、沸騰が戻ってきたら少し火を弱める。

麺を入れる前に、水を沸騰させる必要がある

2. 麺の調理

3. 茹でた麺を濾す

麺の理想的な調理温度
麺の調理温度

麺籠で麺を取り出す際、麺に残った煮汁がスープを薄めるので、できるだけ麺から煮汁を取り除く。

ここで、上手に調理するために重要なことは、調理の途中で煮汁に水を加えないことです。

水を入れてしまうと、煮汁が少なくなってしまい、麺にうまく火が通らなくなってしまうからです。(調理というより、煮るという感じでしょうか)。


調理水の状態を維持・改善するために水を足したくなる気持ちも分かりますが(時間が経つと茹でた麺のかん水が増えて濁ってくるので)、止めて下さいね。

調理用水を長期間にわたって綺麗に保つ方法

水を循環させながら調理用の水をできるだけ清潔に保ちます
このシステムでは、調理水をできるだけ長く維持するようにしています

その他、調理水の状態を良くする方法として、調理水に少しずつお湯を流し、溢れた調理水を循環させて、調理水の状態を維持することがあります。

そして、途切れたら調理水全体を交換することです。

お湯を沸騰させる状態まで持っていくには時間がかかるので、お店の麺類調理をどうするかは事前に考えておくことが必要です。

調理時間と加水率および麺の大きさの相関関係
麺の種類に応じた調理方法の目安

また、麺を茹でる時間はどれくらいがいいのかご存知ですか?

麺の大きさや水の割合によって、適切な調理時間が異なることが分かっています。

上記の表は、麺の加水率、麺の大きさ、調理時間の関係をまとめたものです。

麺の大きさが同じなら、加水率が低いほど調理時間は長くなります。

麺の水分比率が同じなら、麺のサイズが大きいほど調理時間は長くなります。

つけ麺 - 冷たいまま食べるときは、冷やすと麺が固まるので、少し長めに調理する必要があります。

熱いスープ麺の場合は、麺をトッピングしながら調理し、熱いスープで食べるため、麺を少し硬めに茹でる必要があります。

冷水で洗って冷やす必要がある冷菜やつけ麺を作る場合は、このタイプの麺は長めに茹でて柔らかくする必要があります。

また、少量のスープやタレを麺に絡ませる「まぜそば」の場合、そのまま調理して提供すると、麺にぬめりが出て食感が悪くなってしまう。

麺を茹でたら、まず麺についたデンプンを洗い流してください。

冷たい料理ならそのままでいいのですが、温かい料理の場合は、麺を温め直してお出しする必要があります。

そのため、温かいまぜそばの場合は、麺を温め直すことを念頭に置いて調理時間を調整するとよいでしょう。

繰り返しになりますが、麺の調理は、やり方を間違えるとせっかくの美味しい麺が不味くなってしまうという点で重要です。

次回麺を調理する際には、これらのヒントを心に留めておいてください。

この記事で学んだ知識を元に、あなたはとても美味しいラーメンを提供できるようになったはず。

正しい情報とテクニックがあれば、あなたもラーメンの達人になれるはず。ぜひ参考にしてみてください。

 

そのほか、ラーメンについて今よりもっと知識を深めたい方は、各製麺工程ごとに、まとめた記事をご紹介しています

 

 

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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