この記事は2024年3月18日のロッキー藤井の情熱メルマガで配信された内容を一部修正して公開しています。
値上げに強くなる!利益が上がる付加価値経営

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値上に対して、抵抗感のある経営者に対する考え方のアドバイス

日本の外食の価格は安すぎるのです。 

その典型事例がさぬきうどんの本場香川県のうどんの価格です。 

1999年に日本はデフレに突入し、2002年にはマクドナルドのハンバーガーは59円の史上最安値になりました。  

日本の外食の価格を破壊したのは、マクドナルドの半額セールが始まりで、その後、牛丼の吉野家はじめ、多くの外食企業が値下げ競争を始めてしまい、外食の価格が低い位置に定着してしまったのです。 

現在は、円安も伴い、多くのインバンド客が日本の食事の安さと美味しさに驚いています。 

そのような値下げ競争の中で、地方の強い企業は価格を一切下げなくても、客数を全然落とさずに、シッカリ、利益を確保して、強く生き残っている企業もあるのです。 

私の知る範囲での事例は、さぬきうどんの本場の骨付鶏『一鶴』と、名古屋のひつまぶしの『あつた蓬莱軒 本店』です。 

値引で売上を上げることに対して、私が感じている問題点

アフターコロナの厳しい時代において、私が麺ビジネスの値引きによる売上拡大対策に対して、 私が感じている問題点は下記の通りです。 

絶対にやってはいけないのは、悪い売上アップの事例

値引き、クーポン等、値引き相当の対策。

例えば、1000円の商品を値引した場合を計算してみます。

 
 

売価

10%引き

20%引き

30%引き

価格 1000 900 800 700
コスト 700 700 700 700
利益 300 200 100 0
利益の減少率 0 33% 66% 100%

以上のように、10%引きで利益は33%減少し、20%引きで66%、30%も引けば、利益はゼロになるのです。

利益を最大化する価格戦略

安くて最高に売れる金額

一番、利益が出るのは、一番たくさん売れる価格設定の2倍程度の価格

高くて、誰も買わない金額

価格 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000
変動費率 40% 40% 40% 40% 40% 40% 40% 40%
変動費 240 320 400 480 560 640 720 800
固定経費 350 350 350 350 350 350 350 350
1食原価 590 670 750 830 910 990 1,070 1,150
1食利益 10 130 250 370 490 610 730 850
食数 100 85 70 55 40 25 10 0
総利益 1,000 11,050 17,500 20,350 19,600 15,250 7,300 0

上記の通り、誰にでも売れる、一番売れ安い価格設定は一番利益の出ない価格設定です。 

一番、利益が出るのは、一番売れる価格設定の2倍程度の価格です。  

殆どの人達は、この安すぎる価格設定では、利益が出ず、過当競争に陥っているのです。  

殆どのうどん店はうどんを売ろうとしているので、安くしか売れないのです。   

例えば、スタバはコーヒーを売ろうとしていないのに、コーヒーが高く売れて、シッカリ利益を出すことが出来ています。  

うどん店が、うどんを売ろうとするので、過当競争になり、儲からなくなり、製麺機メーカーが製麺機を売るので、製麺機が売れず、過当競争になるのです。  

売りたいモノをダイレクトに売るのではなく、売れる仕組みを作ることが大切なのです。 

値上戦略

戦略とは戦を略す、即ち、血を流さずに勝つ方法を探ることであり、らしさを追求することなのです。

以下の3項目が戦略の考え方の必須項目です。

  1. 他社とは、異なる行動を伴なった、独自性のあるポジションを創り出すこと
  2. 競争上必要なトレードオフを行なうこと
  3. トレードオフとは、何かを達成するためには、何かを犠牲にしなければならない関係のこと

基本戦略の種類は3つです。

  1. 集中化戦略
    中小企業に有効な戦略
    (事例) 骨付鶏 一鶴
  2. 差別化戦略
    ライバルとの徹底的な差別化
    (事例) つるとんたん
  3. コストリーダーシップ戦略
    コスト有利で戦う戦略で、大手企業しか取れない戦略
    (事例)牛丼の吉野家

戦略ポジショニング

中小企業の戦略である集中化戦略を取っていくために、自店とライバルとの立ち位置を明らかにする戦略で、ライバルのいない隙間を攻めて、強いポジションを明確にすることです。 

下記は、麺ビジネスにおける戦略ポジショニングの事例です。

実際の戦略ポジショニングは、下記の順序で行ないます。
  1. 上記のように縦軸、横軸に異なったパラメーターを設定して、一般的な消費者の頭の中にある自店とライバル店との相対的な位置付けを行ないます。
  2. ポジショニングの手順STP(セグメンテーション、ターゲテイング、ポジショニング)

現状分析

  1. ターゲット顧客が、購買において重要だと考える要素を列挙する
    (一般消費者が自社のビジネスに求めている要素の重要な要素)
  2. 競合分析をおこなう
    (同じ商圏での競合分析) 
  3. マッピングの軸を決める
    (同じような要素は避ける) 
  4. 競合の位置づけをマップに配置する
  5. 自社が狙うポジションを決め、それに基づくマーケティング戦略を立てる  

ポジショニングの留意点

  1. 大きい山を狙う
    (市場が大きい)  
  2. プラスの変化の山を狙う
    (成長性がある)  
  3. 自社の強みが活かせる
    (ライバルにない、自社だけが持っている特殊技術、特殊知識、過去のR&Dが活かせる)

優れた商品は絶対

優れた商品は絶対です。

(参考)ダイソン社長 会社より商品が大切

市場のリーダーのポジションを確保する

カレーうどんと言えば、 一層の努力をしなければいけないときは、勝負がまだ決まっていないときで、最終ゴールは、選んだ山の上に旗を立てることです。

そのジャンル、その商圏でトップになることです。

5 Way positioning

5 Way positioningの概念は次の通りで、以下の5項目で、全てが3以上、得意な分野でトップ、即ち、5点を獲得することです。

「商品」、「価格」、「サービス アクセス」「経験価値」、「記憶に残るHappyを感じたか」

5 Way Positioning

商品
価格
サービス・アクセス
経験価値
記憶に残るHappyを感じたか

全てが5である必要はなく、どれか1つ最も得意なものが5で、その他は最低3である必要がある

(参考)人のニーズは果てしなくレベルアップするので、企業、ビジネスも果てしなく、レベルアップが必要です。

片時も油断せずに、今の商品を超えるものを作り続けることが大切です。

値上の効果

最も早く、簡単に売上だけでなく、利益アップ出来る方法が、商品の値上です。  

下図のように、現状で毎月100万円の利益が出ている場合、10%の値上げで利益は200万円になり、20%の値上げでは利益は300万円と3倍になるのです。  

但し、単に値上をしただけでは、売上は必ず、落ちる可能性が高いのです。 

そうしないために、お勧めしたいのが、どこにも負けない、最高品質の麺作りです。 

その結果、高価格で、商圏を広げた広域商圏戦略です。  

最高品質の麺で商品作りを行ない、食べログの点数は、最低で3.5以上に持ち上げることです。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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