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事業計画書を作る理由
事業計画書は何の為に作成すると思いますか?
それは本当に魔法の杖の様なツールであり、ビジネスの設計図なのです。
ビジネスとは、感性の世界と厳密な数値の世界の両立で成り立ち、どちらが欠けても、ビジネスにはならないのです。
事業計画書のレベルも、簡単なものから始まり、規模が大きくなるに従い、精密な計画が必要になります。
モノを作る時の設計図に相当し、飛行機の巨大な構造体から始まり、自動車、自転車等、モノが小さくなるに従い、設計図も複雑なものから、簡単な方向に向いていきます。
今回は、個人での起業を想定しているので、それほど複雑な事業計画書にはなりません。
最初は、ラフな計画から始まり、詳細な計画に詰めていく必要があります。
事業計画書は、金融機関や事業の協力者への説明の際に必要なのです。
事業計画書=返済計画書ともいえます。
事業計画書とは、事業に対する夢をいかにして実現していくかを具体的にあらわしたもののことです。
また、説明する必要がなかったとしても、自分のプランは本当に実現可能かどうかを確認する意味で、これは絶対に不可欠です。
これは、店を開く際、事業をシュミレーションしていき、それをもとにつくっていくものです。
もし金融機関から融資を受けるのならば、この事業計画書は金融機関に対する返済計画書になります。
「こういうふうな売上げが立ってこれくらいの利益が出て」
「またこれをするためには初期投資にこれだけのお金がかかります」
「ですからここの部分を融資してください」
「このくらい利益が出てこういうふうにお返しできますから、安心して貸してくださいね」
とアピールするための返済計画書。
つまり金融機関に対する説明書になります。
当社では、新規開店をご希望なさる方の資金面についてもサポートさせて頂いているのですが、この事業計画所がしっかりしていないと、色々な融資が受けられないのです。
逆にいえば、事業計画書がしっかりしていると金融機関から非常に融資してもらいやすいということになります。
ビジネスは、感性の世界と数字の世界の両立ができて初めて成功する、とよくいわれています。
うどん蕎麦店、ラーメン店開店において、コンセプトづくりは感性の世界、事業計画書は数字の世界の確立への第一歩となるのです。
また、説明する必要がない場合であっても、自分の事業が本当に実現可能なのかを確認する意味で、事業計画書の作成は必要といえます。
何度も書き直すことによって、自分が本当にやりたいことや、事業の成功する見込みがはっきりします。
事業全体の構想を文章で明確に説明し、事業に対する自分の夢を、いかにして実現していくかを文章で、具体的に表しましょう。
この事業が、今までの既存の事業が解決出来ていないお客さまのニーズを、いかにして解決するかを明確に説明しましょう。
参考記事:地域一番店として勝ち続ける秘訣|お客さまのニーズを理解し、顧客満足度と売上を高め続ける方法
さまざまな市場データ(商圏分析、市場規模、業界のトレンド、消費者の価値観の変化等)より、この事業の可能性、将来性ついて言及できます。
キチンと作成された事業計画書は、始まる前に始めた後の事業の状態を表しているのです。
始めなくても、事業の行く先の状況が透けて見えてくるのです。
事業計画書作成の実際
では実際に作成をしてみましょう。
事業計画書の構成
当社がお勧めしている正式な事業計画書はほぼ4部構成になっています。
これは、当社のホームページから購入出来ます。
また、麺学校に参加すれば、簡易的な事業計画書を生徒さん全員に作成して貰い、どの規模で、どんな店を開店すれば、どれくらいの利益が得られるかをシュミレーションします。
a)全体計画(総投資額、借入れ予定と返済方法、人件費概算)
b)月次売上計画
c)月次損益計画
d)3年間の損益計画
事業計画書作成には色んな方法が考えられますが、下記で当社が行っている一番理解し易い、計算し易い手順で述べていきます。
総投資、借入金と返済方法、人件費算定
ここでは総投資額の算定、減価償却費、借入金の月間返済額、月間人件費総額を算定するのが目的です。
まず、店舗の条件が決まっていればそれらを記入していきます。
a)フルサービスかセルフサービスか
b)物件の広さ
c)物件の家賃
d)見込人員
e)見込人件費
f)休日の有無
g)営業時間
以上の条件が決まるとまず、総投資額の算出です。
- 総投資額の算出には次の項目の算出が必要です。
初期の事業計画書段階で、総投資額の目安を出す場合は精度は不要です。
最終的に物件が決まり、金融機関等に事業計画書を提出する場合は、ある程度の精度が必要になってきます。
- 物件取得費(保証金、権利金等物件を取得に当って必要な金額)
- 建築費(内装、外装費、厨房内工事費、建具、家具)
- 建築予備費(看板、追加工事費等)
- 空調費(冷暖房工事費)
- 厨房設備備品費(茹で釜、冷凍冷蔵庫、フライヤー等々の厨房設備)
- 製麺設備費(製麺機、熟成庫)
- 什器備品(食器、調理器具、備品、初期の消耗品費)
を算定していきます。
ここで、上記の空調費、厨房設備備品費、製麺設備費はリースを適用することも可能です。
リースを使用する場合は現金支払いとリース支払いに分けます。
ここで総投資額が決まります。
- 次に減価償却の計算です。
建築費は最初から建てる場合と既に建物があり、内装だけの場合では償却年数が異なります。
それぞれの償却年数は次の通りです。
- 資金調達と返済方法
自己資金と総投資金額のバランスで不足金額を借入れします。
但し、余裕の運転資金もここで確保しておいて下さい。
運転資金がゼロでは気持ちのゆとりがなくなります。
ここでは借入れした金額を5年で均等返済の計算をします。
実際は金額が大きくなると7年程度の返済期間になりますが、安全サイドで5年で計算します。
これで月額の返済金額が計算出来ます。
- 要員計画
ここでは社員、パート、アルバイトに分けて計算をします。
まず、社員を使うかどうか、パート、アルバイトをそれぞれ何名にして幾ら位の月額にするかを決めていきます。
こうして月間人件費を算定します。
月次売上見込
ここでは想定される売上見込の計算です。
最初に月間売上見込を計算していきます。
売上は、「客単価×席数×回転率=売上」の数式で表されます。
ここで重要なことは売上を平日、土曜日、日曜日に分け、更にそれぞれを昼、夜に分けることです。
と、言うことは30日立地の場合は、当然、平日より土日の客単価、売上が大きくなります。
また、平日、土日とも、昼と夜は客単価が異なってきます。
注記)昼と夜の営業時間の境目は夕方の5時です。
a)平日の昼間はターゲットとするお客様が毎日でも気軽に来て貰える客単価を設定します。
例えば、サラリーマン対象であれば、600円とか。
b)夜はアルコールを出す店の場合、通常は昼の客単価の2倍から3倍です。
c)土日の客単価は30日立地の場合は家族客が主体になるので、平日の昼間の客単価より高くなります。
例えば、平日が800円の場合は土曜日が950円、日曜日が1100円とかです。
次に客席数ですが、これは正味の席数で計算します。
満席率は考えません。
全部で50席であれば、50で計算します。
最後に回転率です。これは客席回転率を言います。
昼間は5時までに客席が何回転するかの計算をします。
夜間は5時以降です。
例えば、50席で昼間客数が150人であれば、3回転と言うことになります。
通常、行列が出来始める回転数が5回転です。
最初は営業に慣れていなくて自信が持てない場合は2~3回転に置くと無難です。
夜は客単価が高くなるので、回転率は当然落ちます。
通常は昼間の半分以下です。
採算計算書
採算計算書の一番の目的は利益が出るかどうか、そしてどの位出るかどうかの見当を付けることです。
算出に当っての注意は次の通りです。
ここでは総投資金額、減価償却、返済月額、人件費、月間売上金額が既に今までの計算で算出されているので、これらの数値が自動計算でここに入って来ます。
採算計算書で注意すべき数字は次の通りです。
a)原材料比率:最近の麺ビジネスの場合は通常40%前後です。
自家製麺に特化すればするほど原材料比率は下がります。
ご飯類、丼等の比率が高まると原材料比率が高まります。
最近は、原材料比率が以前より高くなり、繁盛店としての目安は40%前後になってきました。
b)人件費率:通常は25%~30%です。
但し、初期は全員が慣れていないので、かなりオーバーする可能性があります。
c)水道光熱費率:麺ビジネスの場合は、ガスの場合は、通常は10%前後です。
麺ビジネスの場合は茹で立てを提供するので、茹で釜がガスを大量に消費します。
都市ガスの場合は高くなり、営業時間が長くなるほど高くなります。
これからの時代のお勧めはIHで、電気に変更することにより、初期投資は高くなりますが、ランニングコストは数分の1に減少するので、特に働く環境が良くなり、人の手当が楽になります。
d)家賃比率:通常の家賃比率は7%です。
従って、家賃が40万円であれば、約600万円程度の売上が必要になります。
e)キャッシュフロー:全ての支払いの後、手元に残るお金の総額です。
実際には減価償却費は外部に出ませんので、減価償却費もこれに含まれます。
この金額が希望する月額になっているかどうかのチェックをします。
参考:自家製麺の採算計算
3年間の損益計算
ここではまず1年間を通じて季節変動があることを理解します。
季節変動も20日立地と30日立地では大きく異なります。
30日立地では8月の売上が年間最高になり、2月が最低になります。
20日立地では2月が最低ですが、8月が最高にはなりません。
ここでは更に3年間を通しての損益計算を行い、3年間の推移を計算します。
大和麺学校では、希望の生徒さんがいらっしゃったら、
事業計画書を確認し、アドバイスさせていただいております。
新規開業を考えられている方、事業計画書作成に迷われている方はいつでもお気軽にご連絡ください。
尚、上記の4項目の事業計画書は、ホームページの「繁盛支援サポート」からご覧いただけます。
詳細はこちらからご確認いただけます。