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はじめに

読者の皆さま、いよいよ新しい年の始まりです。

当社は、昨年12月29日から正月休みが始まり、昨日1月5日までの8日間でした。

私にとっては、日々の戦争のような喧噪からの逃れることが出来た素晴らしい8日間でした。

折角の貴重な8日間だったので、普段は出来ない深い思考にふけり、思いついたことなどをまとめ、全社員に向けて、毎日発信を続けたのです。

主題になったメインテーマは、企業価値の向上でした。

このような難しいテーマは、静かな正月休みにぴったりのテーマで、普段は、なかなか集中して考えることの出来ないテーマなのです。

難しいテーマですが、正月なので、ぜひ、お付き合いください。

当社は、今年創業50周年を迎えるので、私は常に永く繁栄し続ける研究を行なっています。

麺ビジネスのお客さまの中にも、永く続くビジネスを希望されている方は実は多いのです。

私は年中無休で仕事しており、正月休みの間も毎日、午後から会社へ出て、メンテナンス出勤している社員にいつもコーヒーを買っていきます。

休みの日は、他の社員が誰もいないし、来客もなく、電話もならないので、静かに仕事に集中出来る最高の時間なのです。

永く続けるには、ビジネスを思い切り、楽しむ

そして、この年齢になっても年中無休365日、仕事に集中出来るのは、お金のためとか、やらなければいけない義務感でやっているのではありません。

新しい概念とか、新しいことに取り組むのは、楽しく、面白いので、飽きないのです。

私にとって、麺ビジネスは楽しいライフワークになっているのです。

麺ビジネスと言っても、私にとっては非常に幅が広く、製麺機を製造販売しているので、製麺機から始まり、麺作り、スープを始め、料理の世界、盛付のきれいさ、デザインは製麺機のデザインから始まり、盛付のデザイン、店舗のデザイン、更には、マネッジメントの分野等は、広すぎて簡単に言葉では表せません。

以上のように、麺ビジネスをライフワークにしていると、実にさまざまな事柄を学ばなければいけないのです。

だから、退屈をしないし、飽きないのかもしれません。

私は以前から、蟻地獄の法則を参考にしています。

蟻地獄は、ウスバカゲロウの幼虫で、羽化する前は古いお寺の床下の地面に円錐形の穴を掘り、円錐の中心部分で、蟻が円錐形の巣穴に落ちてくるのを待っているのです。

蟻にとっては、転げ落ちれば幼虫の餌になってしまうので、文字通り、蟻地獄なのです。

蟻地獄も最初の巣穴は体形にあった小さい円錐形ですが、成長と共に、円錐形の巣穴が徐々に大きくなるのです。

上辺の直径が拡大するだけでなく、深さも同時に深くなり、大きな円錐になっていくのです。

このように、知識を横方向に広げると同時に、深さを増していけば、バランスを取りながら偉大になるのです。

製麺機から始まった当社のビジネスを振り返ってみて、うどん用製麺機「真打」から始まり、ラーメン用の「リッチメン」、蕎麦用の「坂東太郎」というように、横に広がっていったのです。

同時に、別会社「讃匠」を作り、麺の製造販売を始め、次には、うどん学校、ラーメン学校、そば学校等、深さも深めていきました。

更に、国内販売だけでなく、海外でも販売を進めました。

こうしてみると、ビジネスはまさに蟻地獄同様、水平方向への拡大と、深さを深くすることを永遠に続けることなのです。

当社がもし、うどん用製麺機しか作っていなかったり、海外展開をやっていなかったら、今の会社の規模の数分の1で、社員数も限られていて、今行なっている年中無休365日メンテナンス、麺学校等も規模的に無理だと思います。

従って、永く生き残るには、ある程度の規模も必要だと言うことが分かります。

以上より、永く繁栄する1つの解決策は、いかにそのビジネスを楽しんでいるかで、決まるような気がします。

長く繁盛するための秘訣は、終わりを思い描くことから始める

麺ビジネスの多くは、例えば、脱サラして1人で始め、小さい規模のままで年を取ってしまい、後継者がいないまま、廃業に至るケースがほとんどなのです。

人の寿命は限りあるので、後継者がいなければ、永く続けることは出来ないのです。

一代で繁盛店を作り、ひいきのお客さまを多く抱え、繁盛するためのさまざまなノウハウを構築し、折角、地域一番になり、ブランド価値を高めたのに、一代で終わるのは実にもったいないのです。

これを次に世代に持ちこせば、大きな財産を引き継ぐことになりますが、そのまま終えてしまえば、地域の損失、ひいては、日本の損失に繋がるのです。

従って、私はこれからの麺ビジネスは1代で終えるのではなく、永く継続するビジネスにすべきです。

一般的に麺ビジネスは、肉体労働を伴ない、かなり重労働の部類に入るので、いつまでも第一線で頑張るのは難しいのです。

従って、始める時から自分が去る時のことを考えておく必要があるのです。

もし、ビジネスを始める時から、終わりを思い描くことから始めると、先ほどの蟻地獄同様、やらなければいけないことが山のようになり、決して、単調な毎日ではなくなるのです。

実は、私も経験があるのですが、ビジネスオーナーとして、日々、現場に入り、調理をしたり、お客さまの応対だけに明け暮れると、それだけで貴重な人生が終わってしまうのです。

従って、ある程度、ビジネスが軌道に乗れば、このビジネスを一緒に永く続けることが出来る右腕、左腕になり得る、後継者候補を作り続けていけば、いつしか、ビジネスが安定し、永く続けることが出来る土台が出来るのです。

そして、オーナーはこれから経営者として、要求されるさまざまなテーマを学び続けるのです。

私は、外食ビジネスをやっている実に多くの経営者を見続けてきました。

国内だけでなく、海外でも、実に素晴らしい経営者がたくさんいました。

しかし、最期を見ていると、永く繁栄する仕組みを作り上げるのは簡単ではないことが分かります。

最も難しいテーマが、跡を継ぐことが出来る人材の育成です。
これもビジネスオーナーの最後で、最も重要な仕事です。

私も年齢的に、この重要な仕事に取り掛かっているところです。

私は、跡を託せる人に要求したい資質は、仕事が切れる、出来る以上に、人間味あふれる性格です。

仕事はやっていると、だんだん上達しますが、人間性はなかなか変わらないのです。

跡を託す人に要求したい資質とは?

以下は、私が正月休暇の間に社員と共有した考察で、最終日1月5日の考察です。

コロナが発生して、もうすぐ5年になります。

私はコロナ以降の5年間を通じて、つかんだ事実は、ビジネスにおいて重要な要素は次の通りです。

① 最初に何を置いても、マインドの強さ、精神的にタフであること

絶対に諦めない心、Never Never Never give up!

ところで、企業が50年生き残る確率の平均は0.7%だそうです。

この先、100年、200年と時を刻もうとすれば、どんなことが起きても、絶対に諦めない心が最終的に、生死を決めると思います。

② 一貫性を持ち続ける

2つ目はぶれない心、一貫性です。

そして、一貫性は信頼に繋がります。

長寿企業は、創業の精神の一貫性を持って守り続け、それが企業のDNAになっています。

一貫性を持ち続けることが出来るかどうかも、上記のマインドの強さに繋がります。

③ フレキシビリテイ(柔軟性)

3つ目の重要な課題は、フレキシビリテイ、即ち、柔軟性です。

ビジネスの世界では、変化は常に起こり続けます。

そのような不確実性の高いで、強くしたたかに生き残るには、変化に対する柔軟性は欠かせないのです。

これから、当社もますます、規模が拡大し、ますます複雑性に直面して行きます。

規模と複雑性の面で企業が成長すると、成長しつづけるのに必要な機敏性と柔軟性は失われ易いのです。

70歳のヨガの指導者が人間の老化プロセスについて語っていたことばは次の通りです。

「人間は老いて硬くなるのではない、硬くなってから老いる」

従って、われわれは幾ら年を重ねても、老いてはいけないのです。

特に精神的に。

以上のように、われわれはこれからも複雑性から逃れることが出来ないのですが、この複雑性を単純化してくれるのは、IT化であり、デジタル化であるのです。

私は日々、PCを使い、仕事を楽しんでいますが、もし、これがPCでなく、昔のように手書きであれば、恐らく、現在の仕事の成果の数分の1も上げられないのではないでしょうか。

従って、複雑性の罠から逃れることが出来ないのであれば、それをIT化で単純化した企業だけが成果を得られるのです。

④ 学び続ける姿勢

私の同級生のほとんどは、現役を退き、悠々自適の生活を楽しんでいます。

しかし、私はまだまだ現役を続けているので、日々、新しい知識を学び続けています。

最近、当社に財務の責任者が入社し、そのお陰で、私は今まで乏しかった財務の知識が日々、 高まっています。

彼が会社に持ち込んでくれた財務の概念は私にとって全て新しい概念だったのですが、同時に、反省したのは、今までこれを理解していたら、こんなにたくさんの大きな失敗をしないで済んだのにということです。

これから、当社の幹部として活躍する人たちは専門分野とは関係なく、全員財務の知識は必要です。

これはどんなビジネスにも共通の必須項目です。

私は、最近、財務の知識を理解するのが、非常に楽しくなり、
それらを深く掘り下げていくと、財務をベースにした未来戦略を構築出来ることが分かりました。

私は、過去より、将来の未来戦略を構築するのは大好きだったのですが、財務をベースにしていなかったので、成功率が低かったのです。

しかし、これからも企業戦略と財務戦略は切っても切れない関係性というのが非常に良く分かりました。

⑤ 仕事を徹底的に、楽しむ

最後は、今やっている仕事を徹底的に、楽しむことです。

われわれ人間、一人ひとりは全て、幸せになるために、この世に生まれて来ているはずです。

私は、社内では、一番の年長者で、皆さんの人生の先輩ですが、最近になればなるほど感じるのは、日々、楽しく生きることの大切さです。

私の経験から言えば、仕事を楽しむ一番の秘訣は、まだ出来ていない少しだけ高い目標にチャレンジを続けることです。

既に出来ていること、簡単なことばかりやり続けても、遣り甲斐、充実感は感じないのです。

以前私は、筋トレで腕立て伏せに熱中していました。

最初は1回も出来なかった腕立て伏せがだんだん出来るようになり、筋トレが楽しくなってきたのです。

その時に気づいたのは、10回が出来るようになった時に、10回をやり続けてもそれ以上に出来ないのです。

無理をして11回にチャレンジするから、11回が出来るようになり、12回、13回とだんだん能力が上がります。

これは簡単なことではないかも知れませんが、本当に仕事を楽しもうとすると、これは非常に大切なことだと思います。

毎日仕事をしていると、1日の生活時間の中で一番長い時間は、仕事の時間です。

仕事の時間がどれほど充実しているかによって、人生の充実度が全く異なります。

一人ひとり、仕事の時間を楽しもう、そして人生を充実させよう!

未来へ

実は、昨日、1月5日は私にとっての最後の正月休みの1日だったので、正月の間、どこにも行かないで退屈していた家内と一緒に淡路島へ行ってきました。

最近、淡路島は、パソナグループが本部を東京から移転し、さまざまな施設を作り、それ以外にも、多くの業者のさまざまな面白いレストラン、テーマパーク等が続々誕生し、非常に話題になっています。

私も以前から行きたかったので、朝から出向いてみました。

行く前に、ネットで調べて、期待感を持って行ったのですが、一番狙いの施設はそれほどでもなく、2番目に訪問した施設は、なかなか良く出来た施設でした。

訪問してまず感じたのは、有名なシェフの監修とかよりも、そこでやっている人たち、1人ひとりが、どれほどそのビジネスに情熱を持ち、細部に目が行き届いているかがもっと大切だということが、大切だと改めて感じました。

施設は、お金をかければ出来ますが、そこで働くスタッフの情熱は、お金では買えないのです。

スタッフたちの情熱の源泉は、そこでいるリーダーの類まれな情熱で、その情熱の炎が強く大きいほど、その炎に点火されたスタッフに、伝播するのです。

上記のように、次世代を育てなければいけない私は、最も大きな情熱の炎を燃やし続けます。

皆さん、今年1年、よろしくお願いします。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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