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立地での新規開業失敗事例
最近、国内営業スタッフから聞いた、お客様の困りごとのなかには「良い物件が見つからない」というコメントが多くありました。
新規開業をする方は、どんな物件が良いか、どんな立地が良いか迷うはずです。
既存店の方も今の物件・立地条件に悩んでいる方もいるかもしれません。
今回は、そんな立地・物件についてみていきましょう。
まずは、一般的な問題点を紹介しましょう。
1 不動産屋は、麺専門店の最適立地を知らない
(事例)うどん店を開店すると決めると、すぐに不動産屋へ行って、立地を確保する店主
2 居抜き店舗は、結局、高くつく
(参考)1人世帯、2人世帯が非常に多くなっているが、ほとんどの店は4人掛けテーブルが多い。
3 コンセプトと立地のズレがある
(参考)立地選定は、魚釣りの釣り場選定と同じで、釣りたい魚のいる場所に行かないと釣れない。
4 家賃と売上の関係を知らないで、家賃が高い場所で開業する人が多い。
(参考)最適家賃比率は7%以下
5 お手軽な店と、上質な店では、立地の考え方が異なる
(参考)家賃と売上の関係
6 一般的な立地では、売上は席数に比例している事を理解していない
(参考)事業計画書を作製すれば良く理解出来る
〇 つぎに、都市立地選定での多くの問題を紹介しましょう。
1 都市型立地でも、殆どの場所は駐車場が必要
(事例)駐車場が必要なのに、駐車場の無い場所、或いは少ない場所で開店する。
(事例)通勤、通学駅の駅前での開店した
2 2階で開店するのが問題だと思っていない
幹線道路、駅前で開店を希望する方が多い
(参考)幹線道路、線路、川は商圏を分断するので、近くで開店しない事
3 都心を離れた駅前で、開店する
(参考)都心を離れると、駅前は良い立地ではない、乗降客の殆どは朝晩の通勤、通学のみ
〇 郊外型立地での課題
1 幹線道路沿いに出店したがる
(参考)幹線道路沿いは、競争が厳しい、小さい店が出店しても目立たない
2 自動車を使わないと来店できないのに、駐車場が足りない店が殆ど
3 郊外型立地なのに、席数が少ない
しかし、郊外型でも、お手軽と上質では、立地は全然異なるのです。
立地が悪くても、高い商品力でカバーする事は出来るのです。
自宅での開業は、多少条件が悪くても、リスクを軽減できますが、郊外型では十分な駐車場は必須です。
既存店の立地についての考え方
まず伝えたいのは、商圏の状態は、時間の経過と共に変化していくということです。
例えば、昔はローカル銀座だったが、今はシャッター街(20~30年間以上)など、やっていると、立地と商圏事情が変わってしまっているのです。
ですので、既存店の方にオススメしたいことは、何年かに一度は、商圏分析を行なった方が良いということです。
立地が悪い場合は、思い切り、移転すると、時間のロスを無くす事ができます。
実際に立地を変えただけで、売上を何倍かに伸ばしたラーメン店があります。
もし、変えずにやっていたら、今はどうなっていたか。
やっている営業内容、コンセプトと立地が合っていないという事例は意外と多いのです。
コンセプトによって、お客さまが決まりますので、コンセプトに沿った立地選択は絶対です。
人口の変動の多い場所は、初めは良いと思って決めた物件かもしれませんが、数年たった際には、再度商圏分析を行ってみましょう。
参考記事:商圏分析を応用した良い立地の探し方
立地の考え方:立地は、コンセプトによって変わってくる
立地選定は命懸けなのです。
まるで、蟻地獄が巣穴を作ると同じで、蟻の通り道に巣穴を作らないと餓死してしまうのです。
しかし、深く研究せずに立地を決める人達が殆どなのです。
では、どの様な商圏を想定するでしょうか?
例えば、徒歩商圏(半径500m以内)、自転車商圏(半径1km程度)であれば、ターゲット層とすれば、近隣のお客様でしょう。
自動車商圏(半径5km前後)であれば、全域のお客様がターゲットとなるでしょう。
要するに、どの様なお客様がターゲットなのかは、お話した通りで、コンセプト、ビジネスモデルに関連するのです。
また、お手軽志向や上質志向でも異なってきますが、ほとんどのビジネスは上質でもなく、お手軽でもなく、中間の不毛地帯でやっている為に、うまくいっていないのです。
ビジネスでの成功は、上質か、お手軽かのどちらかしかないのです。
ただし、お手軽は規模が大きくないと、成功しません。 上質は高級とは意味が違います。
※「高級」とは、多くの人が知っていて、価格が高いこと自体に価値があるもの。
※「上質」とは、値段に関係なく、自分が心豊かに感じられることに価値があるもの。

次に家賃と売上の関係は下記の通りで、ファーストフードのようなお手軽な店は家賃が高いほど、売上が上がりますが、上質な店の場合は、家賃と売上の関連はありません。

コロナが大きく変えた立地特性
ビフォアコロナまでの立地戦略とアフターコロナの立地戦略は全く異なります。
アフターコロナでは、オフィス中心が落ちています。
そして、ロードサイドの店舗が今後、人気になるでしょう。
それは、過去に集団から、個人対応、テークアウト対応へと変化しているからです。
また、持ち帰りを専門とする店舗、ファーストフードが増えています。
イートイン ⇒ テークアウト、デリバリーへ変化しています。
さらに、インターネット、SNS、AIで立地はどう変わっていくのでしょうか。
ウーバーイーツの手数料は30%、出前館は35%であり、うまくやらないと、儲からないビジネスになっているのです。
しかし、ある程度のシェアは占めています。
宣伝のひとつを理解して、利用するとよいでしょう。
今後は、生産性の高いビジネスが良い立地を奪っていきます。
ファーストフードビジネスが伸びています。
原材料比率が高くても、人件費のかからない、回転率の高いビジネス、人手をかけない、人件費を省くビジネスに集中すると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
最後にまとめとして、ある質問に対する回答を踏まえながら説明しましょう。
過去にこのような質問が届いたことがあります。
質問:物件の探し方についてアドバイスが欲しいです。
回答:その際の私の回答は物件を探す場合に、次の順序でビジネスの内容を明確化することが先決です。
①どんなお客さまをターゲットにするのか、ビジネスはお客さまの選定で決まります。
②次に選定したお客さまが沢山いる場所を選定します。
③そのような場所で、同じお客さまを狙っているライバル他店が少なく、競争になりにくい場所を選びます。
例えば、同じ蕎麦店でも、立ち食いそば店と高級蕎麦店は競争関係になりません。
④次に、どのくらい投資して、どの様なビジネスモデルを構築するのかを明確化します。
投資金額でおおよそ、ビジネスの規模、内容は決まります。
⑤次に採算計画で、そこで店を始めた場合にいくら、利益が上がるのかの計算をします。
この場合の目安になるのが、家賃と売上の関係で、家賃は想定売上の7%以下にすることです。
立地、物件では妥協しない事です。
殆どの新規開業する方々が、立地、物件で妥協してしまって、その後、長い間、立地、物件の為に大変苦労しているのを常に目にしています。
何故、立地、物件では絶対に妥協してはいけないのでしょうか。
妥協して、良い事は何にもないのです。
同じ商品、同じサービス、同じ努力で頑張ったとしても、報われ度合いが全く異なってきます。
立地、物件が合っていないと、泣きたくなる位、報われないのです。
反対に、立地、物件がやりたい事と合っていると、少し下手にやっても大変スムーズにいきます。
そしてこの立地、物件が合っているかどうかは、当社に学校で経営講義を受けて戴くと、非常によく分かります。
ほんのちょっとした努力をするのと、しないのとでは、結果は全然違ってくるのです。
一生懸命に取り組んでいくと、自社のビジネスモデルには最適な立地、物件がだんだん見えてきます。
それはビジネスモデルによって異なりますが、都心のある条件の場所かも知れないし、郊外の住宅街の様な場所かも知れません。
それは、その店のコンセプト、対象客、ビジネスモデルによって異なってくるでしょう。