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はじめに
最近、私の目の周りで、大きく成功している飲食ビジネスとそうでない飲食ビジネスを見分けることは簡単です。
コロナの後、確実に日本人の外食での消費活動は落ちています。
私を始め、当社の活動を見れば、一目瞭然です。
コロナを経てラーメンビジネス及び、麺ビジネスは完全に変わりました。
コロナによる短縮営業で夜遅くまでの営業ができなくなりました。
小さな個人店はどこも厳しく、コロナで撤退してしまったところが多々あります。
緊急事態宣言により、外出することが激減し、食事も外食からテイクアウトに変化してきました。
深夜営業する店が減り、飲食業界は厳しい状況になりました。
当社でもコロナ前は、お客さまが来られたら、外での食事は当たり前でしたが、コロナ中の社内での飲食の習慣が残っていて、お客さまが来社されても、美味しい料理を手配して、社内でのお客さまとの夕食がほとんどになりました。
そうする一番大きな理由は、時間のロスを防ぐことです。
今から振り返ってみれば、外へ食事に行く場合の一番の課題は、往復の時間、順番待ち時間、次の料理が出てくるまでの待ち時間等、時間のロスが非常に大きく、生産的でないのです。
ところが、社内で食事をすれば、これらのロス時間がゼロになり、必要な話に集中出来、非常に生産的になることが分かったのです。
従って、外へ出る場合は、それらのロスを補えるだけの余程の魅力のある料理、サービス、雰囲気があるかどうかです。
もし、多少遠くても会社の周辺にそのような素晴らしいレストランがあれば、当社のユーザーさまは皆さんが外食ビジネスをやっているので、社内で食事をするよりも参考店として、案内をするはずですが、参考店案内したいような店舗がほとんどないのです。
但し、一鶴を知らないお客さまが来られた場合は、参考店として一鶴をご案内する場合はあります。
すると、ほとんどのお客さまは非常に驚かれます。
300席の大型店が平日の夜に行列になっているのですから。
これからの時代の麺ビジネスは、以上の様に、わざわざでも行きたい魅力のある店を作ることは必須条件だと思います。
当社は、49年前の創業以来ずっと、繁盛する店舗とそうでない店舗の違いの研究を続けてきました。
そして、麺ビジネスにとっての繁盛において、最も大きな要素は麺質から始まる商品力の大切さを理解し、20数年前より、うどん、蕎麦、ラーメン学校の進化に努めてきました。
いかにすれば、麺ビジネスが永く生き残ることが出来るようにサポートするのが、当社の最も重要な役目です。
その中で、商品力に次いで、最近の大きな変化より、インバンド対策の重要性に気づいたのです。
当社では過去、来客があれば、外へ出るのが当たりまえで習慣化されていましたが、社内での食事を一度経験してしまうと、外食で外へ出ることの意味を見出せなくなってしまいました。
現在では、社内で外食に行く場合は、よほど行く意味のある店以外はまず行かなくなってしまいました。
ところが、インバウンドのお客さまに取っては別の話です。
わざわざ高額な旅費と貴重をかけて日本へ来るのは、日本料理を食べるのが目的化しているのです。
だから、インバウンドのお客さまに取って、訪問する意味のある料理を提供すれば、既存客の上に、新しいお客さまを増やすことが出来るのです。
更に、最近のスマホの活用による、SNS等の情報の拡散により、地方とか都会の差はなくなり、辺鄙な場所でも繁盛する可能性は大きいのです。
以上のように、インバウンド客をターゲットにすることは、あなたの麺ビジネスの革新の1つになるでしょう。
近年、訪日外国人数は増加傾向にあります。
インバウンド飲食業は、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな打撃を受けましたが、2023年以降は徐々に回の兆しが見え始めています。
これに伴い、インバウンド飲食業の売上も徐々に回復しています。
以前の様に、中韓から観光客だけでなく、世界中から幅広く来日しているのが、今回のインバウンドの特徴です。
2024年以降は、訪日外国人数がさらに増加すると予想されています。
それに伴い、インバウンド飲食業の市場もさらに拡大していくと考えられます。
日本の経済全体に大きなプラスの影響を与えると期待されています 。
以上のことから、今後の麺ビジネスにおいて必要な事は、「インバウンド対策」に力を入れることだと考えます。
あなたは「インバウンド対策」として、どのような取り組みをすれば良いと考えますか。
グローバル対応とは、どのような対応でしょうか。
今回のメルマガでは、インバウンドのお客様の対策・集客方法について話をしていきましょう。
お客様のニーズ・体験イベント
新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド客のニーズ は 変化 しています。
インバウンド客だけではありませんが、特に衛生面への意識が高まっているようです。
1人旅や少人数旅が増加しています。
また、体験型のサービスが求められています。
インバウンド客は日本らしい体験が大好きです。
日本を訪れた目的は、日本の文化や歴史を体験したいと考えているのです。
ここで重要なのは、「あなたのお店の強みを利用した、ここでしか体験できないこと」をする必要があります。
これを深く思考して対策を立てることにより、あなたのお店の個性が際立ち、インバウンド客だけでなく、国内のお客さまも狙えるのです。
例えば、麺打ち体験や、天ぷらなどの和食の作り方を学ぶイベント、ラーメン料理体験など、日本の代表的な料理である和食を自分で作って食べることで、日本の食文化を体験することができます。
その他にも、茶道体験やサムライ体験など、 様々な体験イベントが人気なため、あなたの麺ビジネスとのコラボレーションであなたの店でしかできない体験を提供することが可能です。
また、他の観光施設や宿泊施設、交通機関と連携することも良いでしょう。
更に、インバンド客の集客において、日本の飲食店の強味の1つが、現在の円安です。
対ドルでは160円、対ユーロでは170円と円安が強まると共に、インバンド客にとって日本の外食の価格、あらゆる日本の価格が非常に安く感じるのです。
従って、インバンド客を多く取り込んでいるうどん店等でも、非常に強気の価格設定をして、大成功している店舗があります。
ほとんどの海外では、ラーメン1杯の価格が、3千円が当たり前の状態なので、本場の美味しい日本のラーメンが千円程度で食べられるのは、インバンド客にとっては驚きなのです。
ターゲット客を明確にする
自店の特徴、強味が生きるようなお客さまをターゲットにすることです。
われわれが想像している以上に国々で、好む味の違いが大きいのです。
要するに、どのような国からの観光客をターゲットにするのかを明確にしましょう。
上記の様に、国によって味の方向性が違うからです。
・暑い地域
スパイスやハーブを多用した刺激的な味付けの料理が好まれる
例:東南アジア料理、インド料理
・寒い地域
脂肪や糖質を多く含む高カロリーな料理が好まれる
例:エスキモー料理、要するに、どこの国の人たちをターゲットにするかで、味付け・メニューは全く異なってくるのです。
ターゲット分析をしっかりして、それに合うメニューを考案しましょう。
メニューを充実させる(多様性・多文化性)
メニューを充実させることで、インバウンド客の満足を向上させることができます。
インバウンド客を集客するには、言語の壁をクリアする必要があります。
多言語メニューブックを用意する
英語や中国語などの多言語メニューブックを用意する。
店内のメニューブックを英語・中国語表記にするとよいでしょう。
あるお店の事例を紹介しましょう。
人手不足の中、インバウンド客がたくさん来店し、メニューブックを見ながら、店員にメニューの説明を求めることが多くなっていました。
メニューの説明に時間がかかり、厨房ではさらに人手不足になり、料理をお客様の運ぶ従業員が不足してしまったのです。
その結果、お客様に長時間待っていただくことになり、クレームになりました。
そこで、メニューブックをすべて英語・中国語表記に変更したところ、オーダー時間は半分になり、お客様を待たせてしまうことがなくなったそうです。
写真付きのメニューブックを用意する
英語・中国語表記に直すだけではなく、写真付きメニューにすることによって、さらに分かりやすくなります。
写真付きメニューのメリットは、写真を見ることで 、お客様は味や量、盛り付けなどを具体的に想像することができます 。
料理の内容が複雑な場合には、写真付きメニューは非常に効果的です。
文字だけより、「食べたい!」欲が湧きやすいのではないでしょうか。
また、注文ミス・クレームの減少に繋がります。
誤解や注文ミスを防ぐことにも効果的です。
ビーガン・ハラール対応
ビーガンやハラール対応メニューを用意し、店内やホームページ、SNS等でアピールしましょう。
近年はタイやシンガポールなど東南アジアからの旅行者が増えています。
イスラム教といえば中東というイメージがあるかもしれませんが、実は東南アジアにも多いのです。
イスラム教徒の中でもムスリムという人たちは、食事だけでなく生活全般に厳しいルールがあります。
そのため、日本に来ても入れるお店が少ないのです。
ムスリムに対応するだけでも、新しい客層を取りこむことができます。
ムスリムにはハラームという禁止事項があり、その中では食べてはいけないものも決められています。
具体的には、
a)豚肉と豚に由来するもの
b)アルコール
c)遺伝子組みかえの野菜
家畜が食べているエサの種類によって食べられるかどうかが決まるので、鶏肉や牛でも食べられないことがあります。
また、インバウンド客の特徴は1人客ではなく、数名程度の団体客で来ることがほとんどなところです。
団体の場合、必ず数名ビーガンやハラール対応など制約のある方がいらっしゃいます。
そのような時、提供するのであればビーガン(vegan)料理がオススメです。
ビーガンは、完全菜食主義者とも呼ばれ、動物性食品を一切口にしないライフスタイルの人々のことです 。
具体的には、
a)肉
b)魚
c)卵
d)乳製品
e)蜂蜜
近年、 ビーガンの人口も世界中で増加しています。
その原因は、地球温暖化防止で、SDGsの影響が大きいのです。
肉や魚が食べられないというお客に対し、代わりの食材を使ったメニューを提供することができれば、ビーガンの方々も安心して食事をすることができ、喜ばれるでしょう。
そして何より重要な事は、どこにでもあるメニューではなく、お客様がびっくりするような、エキサイティングなメニューを考案することです。
うどん料理で例えるなら、大アナゴ天うどん 大海老天うどんなど、インパクトのある、より日本的で、ここでしか食べることのできないメニューが良いです。
店内・接客を外国人向けにする
店内の表示を多言語化する
店内の表示、例えば「食器はここへ」や「支払方法」など、インバウンド客にとっては不安がたくさんあります。
あなたが外国のレストランへ行くときにどのようなことが心配ですか?
想像してみましょう。
クレジットカードやFree Wi-Fiの使用可能表示も重要な項目です。
働く従業員も外国人
近年、深刻な人手不足に悩む企業にとって、外国人雇用は有力な選択肢の1つとなっています。
a)人手不足の解消
先程も少し話をしましたが、近年、人手不足に悩む飲食ビジネスはどんどん増えております。
外国人雇用によって、多様な人材を確保することができ、人手不足を解消することができます。
b)言語が通じる
インバウンド客の対応として、外国人の従業員がいることは安心材料です。
c)働く外国人が、外国人のインバウンドを呼ぶための方策を考え、集客して貰える。
翻訳機を利用する
最近では性能の良い翻訳機やスマートフォンアプリで簡単に会話をすることが可能です。
英語・中国語に限らず、多言語対応できるため、語学に堪能なスタッフや、外国人のスタッフが不在時でも簡単に会話をすることが可能です。
SNS・口コミ・グルメサイトの活用
インバウンド客の集客には、SNSなど、ウェブマーケティングが必要不可欠です。
上記で述べたように、メニューや店内が多言語対応していることや、外国語を話すことが可能なスタッフが在籍していること、ビーガンやハラールといった方対象のメニューがあることをSNSで発信すると、インバウンドのお客様たちは安心して来店することができ、集客に繋がります。
言葉が通じなくても伝わる、おもてなしの心。
日本は昔から、お客をもてなすために細やかな配慮をしてきました。
飲食店やホテルなどで提供される日本のサービスレベルは世界でも評価が高く、これを体験したいと思っている外国人は非常に多いです。
インバウンド客は慣れない日本で、不安を抱えながら数あるお店の中から利用する店舗を決めます。
どのメニューがおいしいのか、なにを売りにしている店なのかがはっきりしないと、入店してもらうことすらできません。
インバウンド集客は、飲食店がビジネスを伸ばす大きなチャンスです。
あなたの麺ビジネスの強みを活かして、インバウンド客は驚くようなメニューで集客し、グローバル化を進めていきましょう。
あとがき
インバウンドのお客さまを呼ぶ場合でも、SNSで話題になるような何か特別な秀でた特徴は必須です。
マンネリ化してしまっていて、近いからとか、便利だから、或いは価格が安いから等の理由で、使われて外食はますます厳しくなることが想定されます。
去る7月4日には、親しいお客さまに本社に来て頂き、今後、強く生き残るための勉強会を開催しました。
皆さん、当社の麺学校を卒業した新進気鋭の方ばかりでした。
その方々の特徴としては、片時の休みもなく、チャレンジをし続けている方たちばかりでした。
チャレンジをすれば、当然失敗をしますが、失敗を乗り越えてきた逞しい人たちばかりです。
チャレンジをし続けるとは、ゲームから降りないで、戦い続けることなのです。