
ページコンテンツ
ビジネスの本当の意味は何か?
多分、多くの人はビジネスと言えば、ビジネス=お金儲けと思っている人が多いと思います。
麺学校の生徒さんの多くは、このように思って参加されています。
ここで、もう一度、ビジネスの本当の意味は何かをシッカリ考えてみましょう。
われわれ、人間はなぜ、ビジネスをやるのでしょうか。
好むと好まざるに関わらず、この世界で生きている限り、何らかのビジネスに関係しているのではないかと思います。
ビジネスの本質は、「自分の強味」「特徴」「好きなこと」「得意なこと」で他の人たち、広く社会の役に立つことを行なうことであり、その対価として金銭の授受があるのです。
したがって、お金儲けはビジネスの結果であり、目的ではないのです。
多くの人たちをハッピーにすればするほど、結果としてお金がたくさん儲かるだけなのです。
私が最近見つけたビジネスの本質について書かれた大変面白い書籍を紹介します。
タイトルは、「ビジネスを育てる」、原題「Growing a Business」で、サブタイトルは「いつの時代も変わらない起業と経営の本質」です。
この書籍の内容は深く、11章にもわたり、ビジネスの本質を深掘りしているので、簡単に読めませんが、ビジネスに携わるのであれば、ぜひ、一読することをおすすめしたい書籍です。
著者は、現在78歳のアメリカ人のポール・ホーケン氏、初版(1988/10/15)からは既に26年も経ち、世界50カ国で翻訳され、世界中で200万部も売れているベストセラー、ロングセラーのビジネス書です。
私は、今回、この書籍に改めてビジネスとは何か、ビジネスの本当に意味は何かの新しい意味を教えられたのです。
上記の書籍のテーマは「ビジネスを育てる」で、ここで言う「育てる」という言葉には、下記の3つの意味があるのです。
1.「自分の周囲の世界へ関心を持つ」
2.「人から学ぶ」
3.「自分を変える」
あなたは自分の中に、これから始めるビジネスについてのアイデア、知識、スキルを持っているはずで、それが大前提です。
あなたはビジネスの本当の意味を理解していますか。
「ビジネスをする」ということは、お金儲けを指すと信じている方もいるでしょう。
あるいは、人々を幸せにする道具だと思っている人もいるかもしれません。
ポール・ホーケンはビジネスの定義を次のように説明しているのです。
それは、あなたが、ほかの誰でもない、あなた自身になるための道なのです。
自分自身のビジネスの損益にかかわらず、何事かを生み出すきっかけとなる数限りない活動なのです。
ビジネスは理論や革新的なアイデアをテストする実験場ではないのです。
ビジネスとは、実行である。
アイデア大事、情報大切。
創造性も欠くことができない。
しかし、何より重要なのは、実行だ。
「成功するビジネスとは、個人がのびのびと自分を表現することでもたらされる」という信念を著者は持っているのです。
この書籍の著者であるポール・ホーケンが最も言いたかったことが書かれている第11章をご紹介します。
第11章 聖堂守
本書の執筆にあたり難しかったのは、読者が事例をそのまま鵜呑みにし、なぞってしまわないよう配慮することだった。
「お手本」として真似してください、そうすれば成功するよ、という教則本みたいな姿勢はぼくの意図から最も遠い。
だからぼくは記述に熟慮を重ねたし、さまざまなビジネスの事例を可能な限り短くした。
紹介したエピソードの1つひとつは、いずれもそこから発想を発展させ、要点をつかみ、自分のビジネスへと応用してほしい。
「模範解答」ではない。
唯一お手本としてほしいのは、全体観ある経営の見方だ。
あなた自身と会社、取引先、顧客、そして地域コミュニティ、それらをすべて統合して考えよう。
ただひたすらシンプルにベストを尽くしていれば、世界はきっとあなたに手を差しのべてくれる。
世の中、あまりにひどいビジネスが多すぎるのだから。
さて、本書もいよいよフィナーレだ。
最後に1つ、とっておきのお話を紹介したい。
サマセット・モームの短編『聖堂守』だ。
感動的で、成功するビジネスの肝となる基本要素がぎゅっと詰まっている。
ちなみに聖堂守とは英国国教会ヒエラルキーの下層にある役職だ。
聖堂守の名前はアルバート・エドワード・フォアマン。
ロンドンの下町訛りがあり、人付き合いがうまく、頑固、自分に満足していて、非の打ち所のない性格だ。
アルバートのチャンスはトラブルから生まれた。
そう、彼のビジネスは、やんごとない理由から誕生したのである。
彼はビジネスで成功したが、それは彼の正直さ、純真さからであり、ずるいことをしたからでは決してない。
忍耐強い観察が成長の源であり、強欲からではない。
ビジネスに対する満足はプロセスからで、ゼニカネの目標達成によるものではない。
要するに、聖堂守は自分のビジネスを成長させようとして方向転換や妥協をしなかった。
彼のビジネスの成長と成功は結果であり、目的ではなかったのである。
物語冒頭。
アルバートは16年このかたロンドンの教会で聖堂守として働いている。
これが彼のビジネス界へと転身する前のキャリアだ。
洗礼式が終わった直後、新任の司教代理がアルバートを呼びつけた。
日ごろの働きをねぎらった後、司教代理はこう切り出した。
「あなたは読み書きができないというでありませんか。
驚きました。
事の次第によっては、誰かほかの人に業務を分担してもらわねばならなくなります。
これは私の立場上、見過ごすことはできません」聖堂守はご指摘の通りだと言った。
司教代理からは、3か月の猶予を与えるからその間に読み書きをマスターするように言われた。
しかし、聖堂守は、自分はいまからそんな新しいことを覚えるには年を取りすぎていると考え、断った。
すると聖堂守の驚くことに、クビになってしまった。
慣例では、聖堂守という役職は生涯守られるはずだったのだが。
いまや失業者となったアルバートは家路についた。
曲がり角を間違えた。
そのときふいに、煙草を吸いたいと思った。
アルバートにとっては、煙草は疲れたときの数少ない楽しみだ。
「ゴールド・フレーク」が好みの銘柄だった。
しかし、歩けどもその長い通りには煙草屋が1軒もなかった。
とうとうブロックの最後になった(ロンドンのブロックの単位は非常に長い)。
来た道を逆戻りした。
しかし煙草屋はなかった。
翌日、聖堂守時代に貯め込んでいたお金を元手に、煙草屋を開店した。
聖堂守は新聞も置く煙草屋のおやじになった。
お菓子も少し置いた。
妻は聖堂守だったのに煙草屋なんて、何てひどい落ちぶれようと愚痴をこぼした。
しかしアルバートは、時代は変わった、教会も昔とは違うんだ、と言った。
店は繁盛した。
1年後、アルバートは煙草屋のない長い通りを発見し、2号店を開店した。
マネジャーを雇った。
2つの店は繁盛した。
アルバートはロンドン中を歩き回った。
煙草屋のない長い通りを見つけると、出店した。
10年後、アルバートの経営する煙草屋は10店舗になった。
ある朝、先週の入金を預金するため銀行に行くと、銀行のマネジャーが、
「お話がございます。
少しお時間よろしいでしょうか」続けていわく、
「お店の繁盛のおかげで資金も潤沢に貯まっております。
いかがでしょうか、この資金をより配当の良い投資へお回しになっては。
もしお任せいただけるなら、悪いようにはいたしません。
この用紙に必要事項をご記入いただくだけで、後はすべて当行が責任を持って資産運用させていただきます」「ありがとうございます。
でも、わし、できないんですわ。
魅力的なお話だとはわかっとるのですが。
えーっと、わし、読み書きができんので。
自分の名前くらいで……。それも商売を始めるときにやっとこさ教えてもらったというわけで」銀行のマネジャーはあきれ返った。
「では、フォアマン様は、この素晴らしいビジネスを、この莫大な財産を、読み書きできないまま、築き上げてこられたと……。
信じられません。
1つおうかがいしたいのですが、仮に、読み書きができたとすれば、どうなっていたとお考えでしょう」「それなら簡単です」ミスター・フォアマンは言った。
貴族的な風貌に小さく微笑みを浮かべて。
「聖ピーターズ教会で聖堂守をやっているでしょうね」
新しい学び直しが人生を変え、ビジネスを変えるのか?
(参考) ドラッカーマネッジメント
私が起業した49年前頃までは、学校で学んだ学問が生涯にわたり、有効に活用できる時代がありました。
ところが、インターネット登場以降の現代では知識の進化、情報の拡散の速度が速く、学校で学んだ知識だけでは社会に役立たない時代になりました。
大和麺学校のカリキュラムも社会の動きに遅れないように、次々と新しい知識を教えていますが、世の中の動きが激しいので、学校で教える内容と世の中で必要とされる知識のギャップが拡大し続けているのです。
私が起業したころは、肉体労働と知識労働の割合は、肉体労働の方の比率が高い時代だったのです。
ところが、徐々に、この比率が逆転し、現在では知識労働の比率の方がはるかに高くなって来ています。
(下図参照)

例えば、知識の変化を加速させるツールとして、コンピューターの登場、PCの登場、更にスマホの登場があります。
これらのITツールは全てわれわれの脳の機能を拡張ツールですが、これらを使いこなせるかどうかで、仕事の生産性はまったく異なってきます。
われわれが語学をマスターするのと同様に、これらのツールを使いこなせることも、知識労働者として、必須の要素になっているのです。
デジタル・ネイテイブのZ世代は、これらのツールの登場後に生まれているので、デジタル機器を使いこなすことは当たり前になっていますが、それ以前に生まれているわれわれ知識労働者にとって、これらを使いこなすための知識の習得も必須項目です。
最近は、新しい言葉でリスキリングという言葉が生まれ、スキルを学び直すの意味で使われています。
会社の中で中堅の人材も、今までのスキルだけでは間に合わず、新しいスキルを常に身に付ける必要が生じています。
これは、麺ビジネスにおいても全く同様で、麺ビジネスを永く生き残るために次のステージに持上げるには、それに必要なスキルの学び直しは必須です。
昨日まで東京支店で開催していたラーメン学校に参加していて、関西地区で繁盛店を4店お持ちの生徒さんは、2年前のラーメン学校に参加し、2年後の今回、海外出店に向けてご参加でした。
学校最後の感想で、その生徒さんは2年前に参加したが、今回の参加で更に学び直しの項目が沢山あったと、お話をされていました。
現に、私が学校を卒業したころには、PCとかスマホは一切存在しなかったのですが、こうしてPCが自由に使えるお陰で、どれほど生産性が上がっているか分かりません。
もし、現在、PCを使わずに、日々の記録を大学ノートに手書きをしていたらどうだろう。
以前は、記録していたノートが毎年、何冊になっていて、以上の様に、学び直し、すなわち、自己への投資は最もリターンの大きい投資になることでしょう。
ビジネスは人柄の試金石になる 。あなたも、ビジネスを通じて人柄を試されているのである。 顧客、取引先など、すべてビジネスで接触する人々との付き合い方は試金石のようなものなのだ。
とはいえ、彼らはあなたにとって本音では好きにはなれない人種かもしれない。
いつの場合でも、目先の利益を優先させないことだ。
納得ができない料理ができたときには、潔く(いさぎよく)店を閉めよう。