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はじめに
これまでの記事では、AI時代の麺ビジネスの正しい始め方 #2/3をお話いたしました。
AIで世の中の大きなトレンドを理解し、未来に先回りしていきませんか。
世の中の大きなトレンドを理解し、未来に先回りする
さまざまな課題の原因を一言で言えば、時代の変化に対応できていないことです。
食における時代の大きな変化は次の通りです。
少子高齢化
少子高齢化に対応して成功した事例は、茨城県に本社のある「坂東太郎」と函館の「ラッキーピエロ」です。
「坂東太郎」は茨城県を中心に大型店を70店舗程度展開し、コンセプトは人間大好き親孝行で、お年寄りが抱えている一番大きな問題である孤独を解決しました。
全店に店長の他に女将を置き、お客様のお出迎えとお見送りをし、特に高齢者には手厚いおもてなしをして、お年寄りに心地よい店を作りました。
お年寄りはお金を持っているので、「坂東太郎」へ行けば、自分たちの問題を解決出来るので、子供たち、孫たちを連れて、スポンサーになって行くのです。
「ラッキーピエロ」は少子高齢化が進んでいる人口28万人の街で、ハンバーガー店18店舗を持ち、ダントツの地域1番店になっています。
ライバルのマックは4店、モスは3店しか出店出来ていないので、函館では、マクドナルドもモスもラッキーピエロには、全く歯が立たないのです。
他のエリアでは、全く見られない現象を起こしています。
「ラッキーピエロ」も少子高齢化を先取りし、お店で働いている従業員は、55歳以上の元気なおばちゃんです。
同時に、少子高齢化が進んだ街であるので、ハンバーガーレストランであるにも関わらず、お店に来るお客様も中高年齢者が多いのです。
以上の2店より、言えることは、ローカルで頑張っている地域一番店の飲食店の特徴として、少子高齢化に対応していることではないでしょうか。
1人世帯の増加
1人世帯がこんなに増えているとは、殆どの人達が理解していない事実です。国内全体では、1人世帯は32.4%、2人世帯が27.2%で両方合わせると、既に6割が1人と2人世帯です。
従って、小さい居抜きの店舗で、4人掛けテーブルが並んでいるような店を借りて、そのままのレイアウトで開業すると、ほぼ、うまくいかないのです。
或いは、ファミレスが不振なのもこの変化が大きな理由の一つです。
家族の単位がどんどん小さくなっているのです。
健康志向
健康志向での顕著な成功事例はサブウエイです。
昔からある単純なサンドイッチで、世界一店舗数の多い外食チエーンになりました。
サブウエイの大きな特徴は、野菜を好きなだけパンに挟んでくれるのと、牛肉のメニューが少なく、目の前で注文により、都度、調理をしてくれることです。
だから、健康志向は、世界的なトレンドなのです。
ますますこの方向に向かっていくことが、想定されます。
そして、先進国のほとんどの国で、肥満が社会問題になっています。
ダイエットも健康と併せて重要なテーマです
食べ易さの追求
食べ物の進化の歴史は、食べ易さの追求の歴史でもあります。
有史以来、人びとは、食べ易さを求めて、調理技術の進化を進めてきました。
例えば、うどんの原型は、小麦粉を水で捏ねて、茹でただけのすいとん或いは、団子でした。
しかし、これは食べ易くないし、あまり美味しい食べ物ではないので、小麦粉を捏ねて、薄く延ばし、包丁で線状に切り、茹でて食べるようになったのです。すると、箸でつまんでも食べ易いし、咀嚼が非常に楽になったのです。
或いは、私が小さいころは、硬いスルメイカを平気で食べていましたが、今はほとんど見かけません。硬くて、食べ易くないのです。
米飯の消費の落ち込みが大きい一つの原因も食べ易さであると思います。
だから、米飯を成型して、すしにすると、子供でも食べやすいし、楽しいので、回転すしがこれだけ成功しているのです。
先進国では少子高齢化が進んできています。
老人になれば、噛む能力、即ち、咀嚼(そしゃく)能力が落ちてきます。
麺はそんなに噛まなくても食べることが出来るので、これからの時代は麺の時代であると言えます。
価値の追求
価値はV=P÷Cの公式で表現出来ます。
Pはパーフォーマンスで、商品力は勿論、サービス力、店舗力のすべての出来の良さです。
Cはコストです。
要するに、出来の良さと値段との関係です。
出来の良さが高ければ高いほど、価格が低ければ低いほど、価値が高くなり、その結果、お客様のリピートが増えます。
多くのお客様を集めて、繁盛することが出来るのです。
世の中にある繁盛店は全て、多くのお客様に支持され、何度も何度も繰り返し、来店して戴いているためです。
最近の典型的な成功事例が、「俺のフレンチ」であり、「俺のイタリアン」です。
原材料比率をたくさんかけて、商品力を高めて成功しています。
原材料比率を50%に高めて回転すし業界でトップに立った「スシロー」も成功事例です。
エンターテイメントの追及
この成功事例は、実演自家製麺で成功した「丸亀製麺」であり、焼き肉レストラン、回転すしもこの範疇です。
もし、焼き肉レストランで、オーダーを受けてから、既に調理済の焼いている肉が出てきたら、果たしてお客様は今のように、焼き肉レストランへ行くでしょうか。
お客様が焼肉レストランへ行く理由は、自分たちで焼きながら食べる楽しさです。
既に焼いている肉が出てきたら、まず、行かないはずです。
だから、回転すしも次は何のネタが流れてくるのだろうかとか、ワクワク感を感じることがあるためではないでしょうか。
アートの追及
アート即ち、高いデザイン力とか、芸術性も重要な要素です。
店舗の内外装におけるデザインレベルの高さ、料理の盛り付けにおけるデザイン力、スタッフたちの衣装のデザイン力等々、デザインの良さで訴える力が全く異なってきます。
お客様は自分の五感に感じるモノを通じて、お店を判断します。
その結果、ファンになったり、利用しなくなったりします。
だから、お客様が心地良さを感じるような高いレベルのデザイン性の追求は、これからの重要なテーマです。
デザインは感性の世界であるので、これを磨くには普段の心掛けとして、服装に注意をします。
自分の個性を思い切り引き出せるような服装を身に付ける習慣をつけます。
次に、デザインレベルの高い店舗に行き、感性を磨きます。
そして、見てきたものを自分で試してみます。
いずれにしても感性を磨き続けます。
サイエンスの追及
サイエンスは科学の世界です。
調理の世界では新しい調理方法が次々と開発されています。
それらはいずれも今までの常識に挑戦した新しい方法です。
当社が推し進めているデジタル・クッキングもそのような事例のひとつです。デジタル・クッキングによる勘の排除で、誰でも同じような料理を簡単に理化して作ることが出来るようになります。
また、低温調理とか、野菜の50度C洗い、70度C蒸し等も新しい調理方法です。
このような新しい調理技術にチャレンジしていくことにより、更なる美味しさ、食べ易さ、健康志向の追及が可能になります。
飲食ビジネスとは
飲食店ビジネスとは、飲食ビジネス=料理×アート×サイエンス×ユーモア×哲学です。
世の中は、ますます複雑な方向へと大きく舵を切っています。
飲食ビジネスの世界もまったく同じです。
昔は飲食ビジネス=料理の単純な、良き時代がありました。
しかし、今はそれだけでは不十分です。
アート(芸術性)、サイエンス(科学)、ユーモア(楽しさ)、哲学(ポリシー)の要素が必要な時代になりました。
この複雑さの必要性を理解し、それぞれを深めていくことが飲食の世界を早く極めることが出来る重要な要点です。
宅配、デリバリー
麺専門店では、店内飲食と併せて、出前をやっている店が未だ多いのが、現状です。
昔は出前を並行して行うことで潤っていましたが、現在はこのような店が苦戦しています。
その大きな原因は、人件費の高騰です。
例えば、私が川崎重工に入社した40年前の初任給は2万円でした。
20年前の大卒の初任給は20万円で、10倍になっています。
これにより、出前が一気に苦しくなったのです。
ほとんどの店は店内飲食の値段と出前の値段を同じにしています。
その上、丼を引き取りに行きますから、この人件費の負担は出前が増えれば増えるほど、厳しくなってきます。
ところが一方で、少子高齢化により、お年寄りが増え、出前への要望が増えて来ているのも事実です。
従って、出前だけを専門とする業態が増えています。
成功事例としては、ピザの宅配、すしの宅配では、「銀のさら」です。
客単価も高く、ピザはワンウエイで、「銀のさら」は高級感があり、価格も高いのです。
だから、今後は、店内飲食と出前を別事業をして取り組むことで、収益性の高いビジネスモデルを作り上げることが可能になります。
格差の拡大
多くの人達は自分のこだわりを優先し、それ以外は節約する生活を選ぶようになりました。
特に、サラリーマンの小遣いは、23年前のバブルのピークの翌年をピークにして、現在は当時の半分以下になっています。
だから、最近のサラリーマンの昼食単価は限りなくワンコイン(500円)に近づいています。
成功事例として、ユニクロとか、丸亀製麺です。
安い価格にも関わらず、商品力は決して悪くなく、十分に満足できるレベルです。
だから、お客様として、決して、サラリーマンをターゲットにしないことです。
サラリーマンをターゲットにすると、丸亀製麺等とまともに競争することになります。
日本の社会の先を行っているアメリカは、完全な二極化に分断されています。
これからは、この格差社会を見据えた店舗戦略が大切です。
消費者の選択眼はより高度になった
インターネット急激な発達により、消費者は常に最新の情報に接することが簡単に出来るようになり、本来であれば、店主の方がプロであるべきなのに、お客様の方がはるかに詳しいような逆転現象が起きています。
そして、豊かな情報に触れることが出来る消費者は、厳しい選択眼を持つようになりました。
その結果、強い店とそうでない店の落差が激しくなりました。
トップと2番手以下の差が大きく開くようになりました。
だから、トップを目指すことと、プロ中のプロであることが成功の大きなカギです。
モノの充足から、心の充足の時代へ
モノの充足から、心の充足の時代への変化が現れたのが、33年前の1980年のことでした。
既に、心の時代になってから久しいのですが、われわれのほとんどがこの事実を理解していませんでした。
これからは物質的ビジネスの右肩上がりの経済状態は無理ですが、心の充足では右肩上がりの高度成長期を迎えているのです。
このことを理解することにより、われわれのビジネスを大きく変えるチャンスがあります。
典型的な成功事例としては、デイズニーランドです。
他にも、長野県の中央タクシーとか、レストランビジネスでは、新丸ビル7階のリゴレット等も素晴らしい一押しのレストランです。
以上の大きな時代のトレンドの変遷の理解と真剣な取り組みが、われわれのビジネスを大きく変えることと思います。
ビジネスで1番成功するのは先回りすることです。
多くの人が先に成功している店の真似をして、追いかけるから成功しません。
世の中には、大きな方向性があります。
その方向性の先回りをすることが成功の近道です。
例えば、現在アルコールを飲む人が減ってきて、健康に気を付ける人が増えています。
それを見越して、先回りする必要があります。
香川県にはたくさんのうどん屋があり、値段も安いです。
多くの人は、同じような店を出そうとするでしょう。
同じことをしていては、成功しません。
人の真似はせず、自分の頭でしっかり考えてビジネスをすることが重要です。
但し、大きなトレンドに注目し、決してその時々のノイズ(ブームのような一時的な現象)にとらわれないことです。
何重にも、もしもの時の対策を張り巡らせる
もしもの時の対策で最も効く対策は何でしょうか。
今は、世界で成功している多くの経営者も、もうこれでダメかというような局面を経験してこなかった経営者はいないのです。
おまけに何度も何度も経験しているのです。
そのようなもしもの時に、生き残ることが出来た原因は何でしょうか。
そのようなときの備えは行く重にも張り巡らせることにより、永く生き残ることが出来るのです。
私の拙い経験からそのような場合のための予防策を以下に記しておきます。
- キャッシュの備蓄:キャッシュがあれば、どんなに赤字になっても生き延びることが出来るのです。
- 信用の積み重ね:お客さま、従業員、利害関係先、社会、あらゆる先への信用を積み重ねる。
- 起こり得る可能性のある未来への対処:当社の場合は、東京直下型地震、東南海大地震への備え
- ビジネスの足を一本足ではなく、さまざまなビジネスの展開:コロナのような事態の回避のため
- 人への投資:生き延びる力を持った人材への投資
まとめ
AIを活用した麺ビジネスを成功させるためには、以下の点に注意することが重要です。
顧客ニーズをしっかりと把握する
AI技術を活用して、顧客のニーズをしっかりと把握することが重要です。
顧客の好みや要望を分析し、それに応じた商品やサービスを提供する必要があります。
AI技術を適切に活用する
AI技術は万能ではありません。
AI技術を適切に活用し、人間の知恵と経験を組み合わせることが重要です。
倫理的な問題に配慮する
AI技術を活用する際には、倫理的な問題にも配慮する必要があります。
例えば、顧客のプライバシー保護や、AI技術による偏見や差別が発生しないように注意する必要があります。
AI時代を生き抜くためには、AI技術を活用して、常に新しいアイデアを生み出し、顧客に新たな価値を提供することが重要です。
AIの進化を理解し、ビジネスに活かすこと。
そして、AIに代替されない人間ならではの価値を提供し続けること。
これがAI時代を生き抜くための鍵です。
柔軟な思考と継続的な学習を心がけ、未来のビジネスチャンスを掴みましょう。