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はじめに
こちらの記事では、自分自身を理解する探索方法をお話しいたしました。
自分自身の能力を理解する、目標を考える、履歴書を書く、ソフトを使って分析するなどを行うことで、店舗経営に対する考え方も変わります。
麺ビジネスの本質
これから麺ビジネスにさまざまな方向から深く切り込んでいきたい。
その前に、しっかり理解したのは、麺ビジネスはいろんな面で、お客さまを幸せにするビジネスでなければいけない点で、これは絶対に外せないのです。
お客さまを元気にして、健康にする
食の提供する人たちは、健康的な食べ物の理解、栄養学の理解が必須
イートイン型の麺ビジネスは、最高のおもてなし(接客)でお客さまを心から元気にし、次に提供する食事でお客さまを内側から元気にする。
本来、食べ物の最も大切な役割として、われわれ人間の身体を元気にするという役割がある。
人類の歴史は200万年とも、20万年とも言われているが、狩猟生活から始まり、定住農耕生活が始まったのが、約1万年前です。
それまでの人類の祖先たちの食事の中心は、木の実とか動物のタンパク質が中心で、狩猟採集生活だけでは人口支持力は限界に近づいていた。
その後、人類が世界に広がった1万2000~1万年ほど前の地球の総人口は、当時の食糧資源をもとに、500万~800万人と推定されます。
定住農耕生活が始まると、地球上の人口は徐々に増え始め、われわれ人類の歴史は食料確保による、人口増の歴史であるとも言える。
そして、2000年前頃から1100年前までの人口は2~3億人を保ち、4億人は500年前、5億人は400年前、6億人は300年前、9億人は200年前、100年前はまだほんの16億人だったが、120年後の現在は80億人に達しているのです。(ウイキペデイア)
以上の歴史より、狩猟採集生活から、定置農耕生活に移り、人口が大きく伸び、更に産業革命により、人口の伸びが加速して、現在に至っています。
農業の発展により、地球上で多くの人口を抱えることが出来るようになり、麺ビジネスもそのお陰で成り立っているのです。
次に栄養学的な視点から見れば、麺類食の最も大きな問題は栄養の偏りで、その典型的な事例がさぬきうどんであり、さぬきうどんの本場香川県では、うどんが美味しいので、全国平均の6倍ほど消費され、その結果、糖尿病患者の数が全国でトップクラスになっているのです。
最近では、糖質の摂りすぎが社会問題になってきているが、私は自分自身の過去の生活習慣を通して言えるのが、タンパク質の摂取不足です。
以前から熱心に筋トレに取り組んでいたのですが、なかなか筋肉が増えなかったのです。
ある時に、医者が書いた高齢者の病気の多くの原因がタンパク質不足を指摘している書籍に巡り合い、毎日の筋トレと同時にタンパク質摂取を始めたのです。
すると、もりもりと筋肉がつき始め、これには私も驚きましたが、社員に見せても皆、感心しています。
毎日温泉卵を3~4個、青魚の魚介類、鶏の胸肉、納豆、豆腐等の大豆製品等、良質のたんぱく質をしっかり摂るようになった結果、1年前の体重が62~3kgだったのが、現在では71kgになりました。
このことがあって、改めて、タンパク質の重要さに気づき、人の身体の組成を調べてみると、以下のようなデータがある。
【成人の体組成(体重60kgの場合)】
水分 : 62.6%
タンパク質:16.4%
脂質:15.3%
ミネラル:5.7%
糖質:1%未満
以上のように、体の半分以上を占める水分を除くと、タンパク質と脂質の割合が多く、食事から摂取する栄養素の中では、糖質と食物繊維を合わせた炭水化物の割合が多いのですが、体組成では糖質は1%未満とわずかです。
その結果、糖質がエネルギー源として使われ、過剰な分は脂肪として蓄えられ、近年の太り過ぎの原因となっています。
タンパク質は、体の中のあらゆる場所に存在し、筋肉、臓器、皮膚、骨、毛髪などの主要成分として存在するほか、体の機能を調整するホルモン、酵素、抗体などの材料になっているのです。
麺の材料の主成分は小麦粉で、特に日本では精製した真っ白い小麦粉を使っているので、糖質が多く含まれています。
このような糖質中心の麺類食を人の健康に役立つ、タンパク質、脂質、ミネラル等をバランスよく含んでいる食事の提供こそが、これからの時代の麺ビジネスには非常に重要な役目だと言えるのです。
タンパク質を補う方法として、最近では、麺の原材料を小麦粉から他の植物、例えば豆類に変更したり、低糖質の麺類が研究されています。
麺の原材料は小麦粉なので、トッピングにしっかりとタンパク質、脂質、野菜等を使って、バランスの良い料理に仕上げることが大切です。
こうして、大切なお客さまの健康を守ることが、アフターコロナの本質が問われる時代に、長く繁盛する麺ビジネスを作り上げることが出来ると信じています。
ただし、いくら栄養のバランスが取れていても、「食べ物として美味しいこと」「見た目のきれいで食欲が沸くこと」は絶対に外せません。
最初のテーマは、美味しくて、健康に良い食事の提供で、お客さまを最高に幸せにすることなのです。
明確なポリシーで、人々を幸せにする
麺ビジネスの次の重要なテーマはこのビジネスに携わる人たち全員を幸せにするということです。
このことに関して、以前から私は非常に参考になる書籍「外食の天才が教える発想の魔術」(フィル・ロマーノ)があります。
「レストラン経営におけるフィル・ロマーノの信条」
レストランは自らの責任を忘れてはならない。
目的にかない、ニーズを満たし、人々を幸せにすることがレストランの使命である。
お客様には値段に見合う価値を提供する。またお客様にとっても従業員にとっても、そこにいるだけで気持ちが高まるような場を作る。
レストランは誠実でなくてはならない。
何ができるかを嘘偽りなく述べ、その約束を守り通す。
謳っている(うたっている)ことと実際が違うのは許されない。
人の心を理解すると同時に、自らのことも理解する。
豊かな想像力で、お客様がそれまで経験したことのないものを提供し、お客様を笑顔にする。
従業員は敬意をもって人と接しなければならない。
レストランのオーナーと経営者も、自分たちが受けたいのと同じ敬意をもって従業員を遇する。
もちろんお客様にも同様の敬意を払う。
レストランと経営者はリーダーシップを発揮し、飲食業界の基準となることを目指さなければならない。
レストランは、自らの成功を何らかの形で地域社会に還元しなくてはならない。
レストランのオーナーも、経営者も従業員も、健全な地域社会づくりを助けるべく全力を尽くすとともに、安定した経営を維持して税取面でも貢献する。
それが、レストランと地域社会がともに発展するための道である。
同じもの、同じやリ方、同じ味を、人は望まない。
普通とは違うもの、新しいもの、見たことのないものを経験して、胸をときめかせたいと思っている。
人と違うことを誰よりもうまくやる。
私はそれを、自分のビジネスの「差異化ポイント」と呼んでいる。
私がこれまでやってきたことはすべてこの考え方に基づいている。
私にとっては、ありきたりなもので成功するより、一風変わった斬新で刺激的なもので失敗するほうがましなのだ。
自分の差異化ポイントを理解し、それをブランドの土台に据えることが重要である。
私を動かす原動力となるものは、成功の甘い香りではない。
失敗することへの恐怖だ。
だが、人とは違う新しいことをしようとするとき、失敗を恐れて思い留まったことはない。
私は未来の予測はしない。
想像するのだ。
私の想像力にもあなたの想像力にも限界はない。
レストランの仕事は問題解決だと言っても過言ではない。
不況のときにはなおさらそうだ。
クラブや団体、組合、ビジネスパーソンのグループなどは、景気・不景気にかかわらず、つねに無料で会合が開ける場所を探している。
それなら、レストランやナイトクラブを使ってもらうのはどうだろう。
オーナーやマネジャーが想像力を働かせさえすれば、店をお客様でいっぱいにする方法はいくらでもある。
何本かの電話と少しのリサーチが物を言う。
私のレストランは、入って来たお客様に「すごい!」と言わせる店でなければならない。
見たものに驚き、食べたものに驚く。
そうでなければ、お客様は2度と戻って来ない。
私の店も私の料理も、お客様を笑顔にしなければならない。
「すごい!」と唸らせる要素をあらゆることに浸透させるのだ。
私はよくこう訊かれる。
なぜ型どおりのやリ方をしないのか、と。
答えは簡単。
「型」というのは、創造力がなく、よりよいやリ方を見つけられない人のためのものだからだ。
ときに起業家は、自分の目指していたものと現実とが食い違うことを思い知る。
レストランが成功するために一番大事な要素は何だろうか。
立地、立地、立地ではない。
料理、料理、料理である。
どれだけ財産をもっていようと、自分がどんなに偉い人間だと自負していようと、人生で一番大切なものはやはり健康である。
成功の秘訣は、うまくいくアイデアといかないアイデアを見極めることだけではない。
そのアイデアがどれだけ幅広い顧客層に訴えるかを理解することも重要である。
お客様は、ほかにはない特別なことを自分だけが知っているという感覚を愛する。
そして、その感覚を家族や友人と分かち合いたいと思う。
飲食業ではちょっとした神秘性が物を言う万だ。
人は誰しも創造性を秘めている。
レストラン業界に身を置いていれば、どんなに頑張っていても、ある日突然何かがおかしくなることがある。
私がレストランのマネジャーを採用するときには、面接でよくこんな問題を出す。
「今は忙しい土曜日の夜で、レストランは満員だ。そんなとき、アシスタントマネジャーが指をポテトスライサーに挟んでしまった。君ならどうする?」たいていは次のような答えが返ってくる。
「止血をします」「病院に連れて行きます」「家に帰します」「オフィスで休んでもらいます」だが、私は決まって首を振り、こう伝える。
「違う違う、そうじゃない。スライサーをお払い箱にして、アシスタントマネジャーをクビにするんだよ。それが仕事上の友情というものだ」引っ掛けられたと気づいたときの彼らの顔といったら!じつに見ものである。
私はいつもお客様に一定レベルの安らぎを提供して。
店に親しみと愛着を感じてもらうように努めている。
そうした雰囲気作りをすれば、お客様はレストランに好感をもち、自分の家にいるかのようにくつろいでくれる。
誰もが誰かの子供である。
私はすべての人をそういう目で見ている。
人は誰しも、愛され、いたわられ、導かれるべき存在としてこの世に生を受ける。
だが、それが叶う人ばかりではない。
私が最も注目している食の批評家は、お客様である。
お客様の評価は、どれくらいの金を使い、スタッフにどんな褒め言葉を言い、ロコミでどれだけ評判を広めてくれるかを見ればすぐわかる。
「物を創る能力は神からの贈物であり、その能力を使うことが神への恩返しである」これは10年前、私が〈コージ・メルズ〉で《ネーションズ・レストラン・ニュース》紙の「年間最優秀イノベーター賞」を受賞したときのスピーチである。
当時も今も、私の願いは同じ。
創造力に富む世界中の人々に、一生を通して自分の才能を使う決心をしてほしい。
私は以上のフィル・ロマーノの信条が大変気に入っている。
これは、レストランビジネスにとどまらずに、すべてのビジネスに通用することだと思っています。
サービス・ビジネスにおける、サービスと利益を結びつける仕組み
ビジネスに携わる人々を幸せにするためには、まずは順序があるのです。
これを体系化したのが、サービス・レベルを上げて利益を上げる考え方の「カスタマー・ロイヤルテイの経営」(ジェームス・L・ヘスケット著、島田陽介訳)で、高度成長期の日本にビジネスで負けたアメリカで考案された考え方で、従業員とお客さまに関する考え方として、最高の考え方であるので、ここに紹介したいと思います。
「サービス・ビジネスにおける、サービスと利益を結びつける仕組み」 である、 サービス・プロフィット・チェーン(Service Profit Chain:SPC)とは、 下記のように、サービスを利益に結び付ける3つのチェーン(3つの輪)の善循環チェーンのことです。
- 従業員に対するインターナル・マーケティング・チェーン(従業員満足度を高めるマーケテイング)
- 顧客向けのエクスターナル・マーケティング・チェーン(顧客満足度を高めるマーケテイング)
- 従業員と顧客とが接する際の全体のインタラクティブ・マーケティング・チェーン (全体の一貫性を持たせる善循環の輪)
SPCの善循環の順序は下記の通りです。
- 企業の高い社内サービス品質を保つ
- 高い社内サービス品質が、従業員満足の原動力となる
- 高い従業員満足が、高い従業員ロイヤルティを生む
- 高い従業員ロイヤルティが、従業員の高い定着性と生産性向上の原動力となる
- 従業員の高い定着性と生産性が、サービスの品質向上につながる
- 高いサービス品質が、高い顧客満足を生む
- 高い顧客満足が、顧客ロイヤルティを高める
- 高い顧客ロイヤルティが、企業の収益性と成長性の原動力につながる。
- 高い企業の収益性と成長性が高い社内サービス品質の原動力につながる。
※注記
1)上記で、従業員満足度と従業員ロイヤルテイは同じではないのです。
満足度が高まるだけでは、不十分で、ロイヤルテイが高まらないと、良い従業員の離職率が下がらないのです。
2)顧客満足度も同様で、満足度だけでは不十分で、顧客ロイヤルテイが高まらないと、もっと近くに良い店が出来ると、そちらに移ってしまう可能性があるのです。
3)上記①~④がインターナル・マーケテイング(IM)、⑤~⑧がエクスターナル・マーケテイングです。
(EM)で、従業員と顧客の接点⑤と⑥がインタラクテイブ・マーケテイングです。