この記事は2024年1月22日のロッキー藤井の情熱メルマガで配信された内容を一部修正して公開しています。

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ロッキー藤井の本質戦略「自家製麺と仕入れ麺の違いについて」

みなさん、「自家製麺と仕入れ麺」というテーマで、ネット検索、書籍等で、たくさんほぼ同じ情報が散乱していると思いませんか?

たとえば、以下のようなことなことです。これらの情報は、間違いではありません。
しかしこれらは麺に関する本質がつかめていないのです。

皆さん、自家製麺と仕入麺というテーマでネット、書籍上で、たくさんほぼ同じような情報が散乱しています。 

例えば、下記のような情報で、間違いではありませんが、麺に関する本質がつかめていないのです。 

仕入麺と自家製麺の違い

A.仕入麺のメリット

  1. 初期投資の製麺機用初期投資金額が不要  
  2. 自分で自家製麺するより、簡単で、労力が不要  
  3. 製麺機の設置場所が不要(製麺スペース不要)

B. 仕入麺のデメリット

  1. コストが高い  
  2. 品質が良くない場合が多い  
  3. 防腐剤が入っていることがほとんど  
  4. 品質が安定しないことが多い  
  5. 自分の欲しい独特な麺を作ってくれないことが多い(期間の短いスポット注文を受けてもらえるところが少ない)  
  6. 麺を仕入れて保管する保管場所が必要、冷凍麺であれば、冷凍庫が必要 
  7. 製麺所数自体が減少し続けていて、自分に合った製麺所を見つけるのが難しくなっている。

C. 製麺機による自家製麺のメリット

  1. 当社の指導により短期間で、美味しい麺作りをマスター出来る  
  2. 麺質が安定しやすい  
  3. コストが非常に安い、往々にして、仕入麺の半分、半分以下で出来る  
  4. オリジナルの小麦粉、オリジナルの製法で、他店にない、独特な麺を作ることが出来る。  
  5. 自家製麺することで、麺のノウハウが深まり、より高品質でオリジナルな麺を低いコストで作ることが出来る  
  6. 他店との差別化がし易い  
  7. スタッフが自店の商品に自信を持てる  
  8. 季節限定、イベント時限定等のスポットメニュー用の麺もスープに合わせた麺を作ることができる。

D. 自家製麺のデメリット

  1. 初期投資の金額が大きい  
  2. 設置場所を取る  
  3. 使い方を覚えたり、慣れるのに、時間がかかる  
  4. 人件費がかかる(製麺作業する人員)

以上のように、麺ビジネスにおいては、単純に自家製麺か、仕入麺かという浅いレベルの話ではなく、もっと本質の部分に深く迫る必要があるのです。 

うどん、蕎麦、ラーメン店のような麺ビジネスにおいて、麺の調達は欠かせないことであり、どこにも負けない高品質な麺が手ごろな価格での調達が出来れば、麺ビジネスは成功する可能性が高いのです。 

そして、ほとんどの麺ビジネスにおいて、使用している麺は、完全な手打ちの店を除いて、全て製麺機で作られています。 

うどん店ビジネス

例えば、うどん店においては、一部の手打の店を除いては、ほとんどの店が手打ち式製麺機を使っての自家製麺です。 

うどんの本場、香川県のさぬきうどん店においても同様で、製麺機でなければ、生産性が上がらないのと、純粋な手打ち製麺と、手打ち式製麺機の品質の差がほとんどなくなっているのが、その原因です。 

国内では、セルフの大型店のチェーン店が大成功していますが、そのようなチェーン店の場合、売上の大きい店では1日に優に2千食のうどんを提供しています。 

これは、手打ち職人の能力を何倍も超えていますので、手打ちではほぼ不可能な食数で、高性能な手打ち式製麺機に頼らざるを得ないのが現状です。 

要するに、うどん店ビジネスにおいては、40~50前はほとんどすべてのうどん店が手打での自家製麺だったのですが、最近ではほとんどすべてのうどん店が、高品質な手打ち式製麺機を使っての自家製麺に移り変わっているのです。 

結論として、うどん店ビジネスにおいて、高品質な手打ち式製麺機を使用する理由は、生産性の向上です。 

蕎麦店ビジネス

次に蕎麦店ビジネスでは大きく2極化されています。

  • 純粋な手打ちだけで自家製麺をしている蕎麦店
  • ロール式製麺機で出前蕎麦が専門のお店

これらに分かれており、要求される麺質はそれぞれ大きく異なります。

また、立ち食い蕎麦店ではほとんどは、ロール式製麺機で作った麺を使っている店が大半です。最近では、ロール式製麺機、あるいは、押し出し式製麺機での自家製麺も徐々に増加してきています。 

しかしながら蕎麦店は、まだまだ純粋な手打ちのお店が全国に相当数残っています。

今後の方向性として、生産性を問わない、こだわった規模の小さい高級な蕎麦店では、手打ちによる自家製麺がある程度のあいだは継続すると思います。 

しかし、人手不足、職人不足、後継者不足等で、徐々に高品質な手打ち蕎麦相当の麺が出来る、手打式製麺機が使われるようになってくると思います。 

ラーメン店ビジネス

最後のラーメン店ビジネスの場合は、博多一風堂がラーメン業界に参入した38年前頃から、それまでの仕入麺から、徐々に自家製麺への方向性に向かっています。 

ラーメン店の場合の仕入れ麺から、自家製麺に切り替える多くの理由は、麺のコストダウンが大きな理由であったのです。 

ところが、ラーメン店ビジネスもスープの競争の時代から、麺の差別化の時代になり、いかに他店と差別化された特別な麺の提供が大きなテーマになりました。 

最近、当社ではお客さまからの要望が大きいのが、家系ラーメンでよく使われている深溝タイプの切り刃を使い、麺線の厚さと幅が逆転して、幅より厚さが大きい、逆切りの麺を要望される方が非常に増えています。 

或いは、手打ち式製麺機を使って、多加水の佐野ラーメンのような麺を希望される方も増えてきていて、まさにラーメンビジネスの麺では、何でもありの世界になってきた感がします。 

これからも、ラーメンビジネスにおいては、麺のイノベーションが繰り返し起き続けそうです。 

したがって、製麺機も単なるロール式とか、手打ち多加水方式だけでなく、特殊な製麺機がこれからも開発され続け、ラーメン業界の麺のイノベーションは新しい製麺機がけん引していくことでしょう。 

ラーメン店ビジネスでは、小型の手打式製麺機での店内自家製麺を選ぶのか、あるいは、セントラルキッチンでの時間200食程度の小型製麺機、時間400~500食程度の中型または、時間2千食程度の大型ロール式製麺機での自家製麺、または、時間2千食以上の大型製麺機で量産している製麺所から仕入れるのかという3択であり、それ以外はあり得ないのです。 

以上の合計3択の意思決定をするにあたって、最も重要な要素は、あなたの麺ビジネスの最終目的地をどこに置くかということで、内容がずいぶん変わってきます。 

たとえば、ラーメン業界でグローバルのトップブランドになっている博多一風堂のようなレベルを目指すのか、あるいは、もっと違ったレベルを目指すのか?あるいは、1店舗だけで勝負するのかで変わってきます。 

私は、ほぼ49年間、麺一筋に取り組んで来て、よくわかるのは、仕入れ麺にしても、自家製麺にしても、どの程度のレベルで手打麺を作っているのか、あるいは、製麺機による自家製麺を行なっていても、要するに、製麺ノウハウのレベルと、どのメーカーの製麺機製麺ノウハウを使うかによって、麺の品質はまったく異なってきます。 

その結果、麺ビジネスにとっては、最も重要なテーマである繁盛の度合も変わってきます。 

多くのラーメン店オーナーが製麺機による自家製麺に対して持っている2つの誤解です。 

1つ目の誤解は、自家製麺より、製麺所からの仕入れ麺の方が、麺のプロが作るラーメンだから、自家製麺より美味しいということ。

2つ目の誤解、製麺機であれば、どのメーカーの製麺機を使っても、同じような麺質のラーメンが作れると誤解していることです。 

麺質に影響を与える具体的な製麺機の問題点は非常にたくさんあり、簡単には説明出来ません。 

お客さまの麺に関する問題を解決するために、当社は国内であれば、全国7カ所のドリームスタジオで、常に、お客さまに最高の麺のレシピの提案を行なっております。 

うどん、蕎麦、ラーメン店のような麺ビジネスにとって、麺は繁盛を左右する強力な要素です。 

38年前に開業し、グルーバルにラーメンビジネスを大成功させている博多一風堂は、創業当初から、自家製麺にこだわり、仕入れ麺が当たり前だった時代に先輩たちのラーメン店から、笑われたという話を聞いています。 

しかし、私が一風堂のNY店舗を訪ねたときには、当社の製麺機で、非常に正確にミキシング時の麺生地の温度測定を行ない、驚くような細かい製麺作業を行なっていました。 

成功の陰には、細かいことにも手を抜かない、大変な努力があることに感心させられたのです。 

したがって、「自家製麺が良い」とか「仕入れ麺が良い」というような時代ではなくなり、いかに自店の特徴ある料理が創り出される麺を調達しているかということが大切な時代だと思います

さいごに

最後に皆さんに最もお伝えしたいことは、まず、どの様な麺を自店で提供したいのか、どの様な差別化をしたいのかという、麺に関するコンセプトが明確であるかどうかです。 

まず、自分が想像も出来ないことは実現できないのです。 

麺ビジネスの事業コンセプトを明確にして、麺のコンセプトも事業コンセプトと一貫性があり、それが自分で明確に頭の中で描けているかどうかが大切になってきます。 

試行錯誤の結果、偶然に素晴らしいものが得られるというような、奇跡も起きない分けではないのですが、基本的には、実際の麺を創り出す前に、自分の頭の中に先に得たい麺が出来ているかどうか、それがまず、一番に皆さんがやらなければいけないことなのです。 

当社の場合でも同じです。 

開発したい製麺機が明確でないのに、優れた機械が出来るわけはないのです。 

以上のような考え方は、皆さんには、意外と思われているかもしれませんが、製麺機の研究が重要な時代になってきたことを理解して頂き、皆さんのビジネスが大成功するお手伝いをさせて頂きたく思います。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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