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はじめに
これまでの記事では、麺ビジネスの正しい開業に向けて #1/3をお話いたしました。
次は、開店スケジュールについて、詳しく解説します。開店スケジュールは、様々な計画を練ることが必要です。
開店スケジュール
次に、開業までのスケジュールを紹介します。
私は機械工学の設計士なので、開店スケジュールは機械の開発と同じだと思います。
最初に綿密な開発計画を立てて、機械全体の構想を考案し、構想図をまず作ります。
構想図は、ラフな図面です。
それを元にして、さまざまな実験を繰り返し、さまざまな計算をして、うまくいくことが分かった段階で正式な図面を書き、実際の機械の初号機の試作に入ります。
初号機でテストを繰り返し、場合によってはお客さまにテストをして貰い、問題がなければ、テスト販売に入ります。
機械の場合も形になる前の計画の時間、構想の時間の方が図面を書く時間よりもはるかに長いのです。
麺ビジネスの開店スケジュールも同じで、計画、構想にシッカリ時間を取り、更に採算シュミレーションを慎重に行ない、利益が十分出ることを確認し、準備を進めていきます。
今日から開店ということで、のれんを吊って開店してからは、手直し出来ることは知れています。
立地を含め、内装、外装、キッチン等もほとんどのものは、開店してから変えることは出来ないのです。
従って、開店に至るまでに、どれだけ慎重に計画し、構想を立てることが非常に重要なのです。
開業計画を立てます
開業計画には、計画を練る段階、動き出す段階、実行の段階があります。
計画を実行に移す直前の段階に成否のカギがあり、開業計画の進行には3つの段階があります。
①プランニングの段階
あらゆることを想定して計画を練る段階です。
いろいろな角度からいろいろ考えてみましょう。
考えの中で試行錯誤をしましょう。
もし実行に入ってたら失敗は許されません。
②実際に動き出す段階
いわゆる、引き金を引く段階です。
その時点からすべての開業計画が実際に動き出します。
ここから先は、原則としてもう止まりません。
③現実に実行する段階
開業計画をその進行スケジュールに従って1つずつ実施していきます。
すべてが開業日に向かって動いていきます。
この段階では、開業計画の変更はなるべく避けなければなりません。
ただ、まだ決めていない細部を煮詰めていきましょう。
その際に、大筋の変更になってはいけないということです。
つまり、基本的なコンセプト(概念、考え方)は決まっています。
ただ細部のコンセプトを決めて総仕上げをしましょう。
最重要プロセス
実際に検討のために考え始める、情報を集めるなど、動き出す段階は実行を決断するための最重要プロセスとなります。
では、どのような順序で検討を進めていけばよいでしょうか?
①業種業態をどう決めるか
どんなお店をやるのかが基本です。
これはどんお店がやりたいかということであり、それがやれるかはこれ以後の検討に任せましょう。
②立地条件に適合しているか
やりたい業種、業態がその立地条件に適合しているかどうかのチェックです。
これは立地条件から考えてどんな業種、業態が適当であるかという判断です。
③建築設計の概要はどうか
そのような業種、業態を与えられた場所で、どのような店舗を作って実現するかということを考えましょう。
それは営業規模とか、席数とか厨房面積とかの規模と内容に関する問題です。
そして、どんな雰囲気のどんなレベルのお店なのかというようなものです。
ややデザイン的な要望と更にそれらのまとめとしての建築予算、あるいはそれに附随したすべての予算など、つまり所要資金の総額の予算を概略的に決めるということです。
営業計画の概略はどうか
業種、業態を決める時に、どんな店を作りたいのかと考えましょう。
その考えをさらに進めると、細部を決めなければなりません。
その細部というのは、いろいろなポイントということである。
ここでそのいろいろなポイントを決めることをコンセプトを決めるという言葉で表現します。
コンセプトについては後ほど詳しく説明します。
そこで、営業計画の概略を決めることは、このコンセプトの大網を決めることです。
①どのようなお客のどのような動機を対象に営業をするのか
営業時間、定休日、客席の種類、持ち帰り、売店、出前、仕出し当の有無を決めます。
②どの程度の規模の店にするのか試案を作る
③主力メニューの考え方、その時間帯、客層、客席別を決める
だいたいの値段、客単価の狙い目(これも時間帯、客席等によって異なる)も決めましょう。
④サービス方法の基本はどうか
セルフかサービスか、前勘定か後勘定か、サービス料、席料などを取るのか取らないのかなどです。
⑤演出、販売、看板、サンプルケースなどについてどう決めるのか
これらは、前の建築設計を立てるためにも必要な条項です。
⑥メニュー計画の具体化はどうか
営業計画の細部をさらに煮詰める段階でメニューをもう少し具体化に細部まで決めていきましょう。
開業日にはメニューの印刷が完成していなければいけません。(実際には教育などのためにもう少し早く出来合っていることがよい)
そのために、メニュー計画がいつまでに出来上がっていなければ困るという締切りがあります。
現実可能か検討をする
売価、原料費率、人員を始め、売上高、損益の把握と確定。
現実可能かどうか重要項目の具体的な検討をする。
メニューを決めるということは、品目を決め、その内容を決めるということであり、それに売価をつけるということでもあります。
しかし、その売価がそのお店のメニュー全体のバランスのとれた値段であるかどうか、安すぎたり高すぎたりしていないかという検討が必要です。
①売価と原料費率を検討する
売価の側から適当であるかどうかに加えて、原料費率がどうなっているかどうかの検討も加えなければなりません。
もし、原料費率が高ければそれは内容に対して安い売価でありすぎたということです。
お客様の感覚から高い価格と思われるようなことだけは注意する必要がある。
②従業員計画を具体化する
営業計画は、人員計画と密接な関係にあります。
ただ最終的にはこのような人員計画は人件費と結びつけて考えなければならないし、その人件費は売上高から(厳格には、荒利益高から)決めるべきものです。
どのぐらい売らなければならないとか、それが売れるかというチェックを後でやることになりますが、この売上高に対してどのぐらいの人件費でよいとか悪いとかのチェックは行いながら検討を進めましょう。
さらに、人員の問題は数値だけの問題ではありません。
どのような人をどこから、いつ求めてくるかということの方がもっと大変です。
③売上高は妥当かどうかを判断する
すべての金額的な条件が決まったところで、いくら売らなければならないのかが決まってきます。
さらに客観的にみて、どのぐらいの売上高が可能であるかも考えましょう。
④売上高の予想に目標を加味する
売上高の予想に目標を加えて売上高の計画とする売上計画では、年間売上高、月次売上高、一日平均売上高、平日平均売上高、繁閑比時間帯別客数、客席回転数、客単価などを予想して、目標を決めそれを計画します。
⑤売上計画では、損益の定型を決める
損益計算においては、原料費率、人件費率、諸経費率の体質と賃借料、価償却費、支払金利の初期条件と本部費によって売上高から利益が得られます。
そこで、売上計画に対して初期条件の合計%がどうなるかということと、経営の体質をそれぞれどう決めたかということが決まり、さらに本部費を決めて利益(プラスまたはマイナス)が決まります。
長期経営計画を立てる
最後に長期経営計画という予想を行いましょう。
そこでは損益の予想と返済金を含めた資金繰りの予想もするのである。
簡単に、開業計画、営業計画の話をしましたが、成功する麺専門店、儲かる麺専門店を作るに当たって最初に説明したように、シッカリとした計画を立てることは必須です。
ところが、職人肌で始めた人はまず、このことを分かりませんし、理解しようとしないのです。