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第一章 飲食店オーナーが起こす失敗例。飲食店開店までの正しい順序の続きです。
一般的に、都心型、郊外型を問わず、多くの人たちが立地で失敗しているのは人通りの多い、あるいは、車の通行量の多い、ライバルのひしめく、競争の激しい立地を求め過ぎているからではないかと思います。
ビジネスの最も良い戦略は戦わずに勝つことで、競争することは余り利口なやり方ではありません。
競争がなく、独り勝ちできる立地を選定するのが、最も賢い方法です。
永く生き残り、今でも隆々と成功している店舗は、競争から無縁なビジネスばかりで、立地選定においても、競争をしないことは絶対条件です。
1.お客さまの目線で、立地を構えていない。
なぜ、こんな場所に店を構えたのだろうかと、私は非常に不思議に思うことがあります。
自動車で来なければいけない郊外店では次のような事例が目につきます。
- 信号の近くなので、信号が邪魔をして車が入りにくいし、出るのも大変。
- 郊外型の店舗で、駐車場台数が足りず、席数と駐車場台数のバランスが全然取れていない。席数に対して、必要な駐車場台数を少なく見積もっている場合がほとんどで、もし、駐車場がシッカリあれば、駐車場へ停めたお客さまは店頭で並んでくれるが、ほとんどの場合は、駐車場が足りないので、入れない。従って、駐車場はいつもいっぱいなのに、店内はガラガラ。駐車場は8割方埋まると、走っている車から見ると、満車に見えるので、完全に満車にしようとすれば、交通整理のガードマンが必要。
- 幹線道路沿いで、速度が出る場所にあるので、店の存在に気付いても止まれない。
- 幹線道路沿いに目立たない小さい規模の店舗を出店している。
- いつも渋滞する場所に店舗があり、入りたくても入れない。
- 駐車場の形状が車で入りにくい形になっているので、入りたくても入れない。
- 駐車場の幅、長さが小さく、駐車しにくい。もし、駐車場内で事故でも起こすと、お客さまは2度と来なくなる。
- 店舗と駐車場が離れすぎていて、車を停めたお客さまはだいぶ歩かなければいけない。
- 近くのコイン・パーキングを自店の駐車場代わりに考えている場合があるがコイン・パーキングは満車の時もあるので自店の駐車場にはならない。
- 駐車場がシッカリあれば、売上があがり、利益も出やすいのに、近くで借りられる駐車場があっても駐車場代をケチって売り上げを犠牲にしている店が多い。
2.近隣のスーパーとか、コンビニの駐車場を当てにして、開店する人がいるがこれはトラブルになるので絶対にやってはいけない。
次に、歩いてくるお客さまを対象にする徒歩商圏の場合では、次のような問題点が見受けられます。
- 幹線道路沿いに店を構えているので、交通量が多いが幹線道路の反対側の人たちは見込めず、商圏内のお客さまの数が足りない。(徒歩商圏で、駐車場無しで可能なのは、半径500mの昼間の人口が2万人以上の場合で、幹線道路、線路、川は商圏を分断するため、幹線道路沿い、駅前、川沿いは注意が必要)
- 駅前は、人通りが多いので、立地が良いと勘違いしている人が多い。山手線より外側の沿線沿いの駅前とか、ローカルの駅前は基本的に、通学、通勤用の駅なので、昼間の駅前人口は決して多くない。(麺ビジネスの最適立地を理解していない不動産屋が勧めるのが駅前立地とか、幹線道路沿いの店舗が多い)
- 商品とか、サービスにこだわる上質志向の店か、あるいは、そうではないお手軽方向かによって、立地がことなるが、上質志向の店なのに、駅前の騒がしい場所に店舗を構えている。
- 基本的に、階段のある2階や地下の店舗は絶対にやってはいけないのに、そこに出店して失敗する人が多い。
以上のような問題は、自分が客の立場であれば、納得して行くかどうか冷静に考えると簡単に答えが出るのに、自分が当事者になり、店舗を開店するとなると、ついつい妥協する人が多い。
店舗を出店する人は、もっと一貫性を持ち、妥協しないことが大切です。
3.インターネット、SNSのおかげで立地の重要性が低下し、過去の経験、常識が役に立たない時代になってきた。
インターネットが発達する前に、香川県でさぬきうどんがブームになったことがありました。
地元の雑誌「恐るべきさぬきうどん」で取り上げられた店舗は、探し回らなければ分からないような辺鄙な場所にあるうどん店ばかりだったのです。ところが、それが火付け役になり、辺鄙な場所にあるさぬきうどん店を探し回る食べ歩きがブームになり、全国からさぬきうどんを求めて、多くの人たちが押し寄せたのです。さらに最近では、インターネットが発達し、お客さまがSNSでお店を拡散してくれる時代になりました。またグーグル・マップが地図を表示するので、どんなに辺鄙な場所にあっても、必ずたどり着けるのです。
ナビも車のナビから、スマホのナビになったので、歩きながらでも探し当られるようになりました。すると、商品力とか、サービス力にこだわった上質志向の店舗は、過去の様に立地の良し悪しが問題にならなくなってきたのです。
商品力とかサービス力にこだわらないお手軽志向の店は、今でもお客さまが来店するのに便利な場所は欠かせないので、駅前立地とか多くの人で混雑した場所が必要で、そのような場所は必然的に坪家賃が高いのです。
その典型的な事例が立ち食いのうどんそば店で、基本的に立ち食いのうどんそば店が成り立つのは、山手線沿線の駅前で、坪家賃が6万円以上程度の高い場所ばかりなのですが、一般の新規開業者がそのような物件を入手するのは、無理なのです。
4.不動産屋は、うどんそば店、ラーメン店の最適立地を知らない。
麺ビジネスの最適立地条件が時代の変化の中で大きく変わろうとしている中で、不動産屋が麺ビジネスにとっての最適立地を理解するのは、不可能なのです。
不動産屋が扱う商業物件は、あらゆる種類のビジネスのための商業物件です。
そして、うどんそば店、ラーメン店というのは、不動産屋が扱う商業物件の中では、非常にマイナーな存在で、決してメジャーな分野ではないのです。
従って、不動産屋にうどんそば店、ラーメン店の最適立地を探して欲しいというのは、土台無理な話で、不動産屋は平均的なビジネスにとっての最適立地を推薦します。
その結果、駅前立地とか、にぎやかな立地、あるいは、家賃の高いところを進めるのです。
今の時代、麺ビジネスの最適立地の専門家でもない、不動産屋に聞くこと自体があり得ないことなのです。
第三章 これから成功する麺ビジネスの立地の本質に続きます。