うどん・そば業界の恐ろしい現実―もっと利益を出したい店主のためのうどん・そば店の勝ち残り策:第一章
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それではまず、うどん・そば業界の現実を見ていきましょう。
1.店舗数減少に歯止めが利かない、うどん・そば店
まずは、下のグラフを見て頂きいただきたい。恐ろしい店舗数減少の実態がお分かりいただけるのではないでしょうか。
なんと12年で、店舗数は約30%減少。年平均2.5%の減少率になっています。
ところが今、不思議な現象が起きています。それは、うどん・そば店の店舗は徐々に減少してきているのに、実はうどん・そば業界の市場規模そのものは増えているという、現象です。
これは一体、どういうことでしょうか?
西暦 | 店舗数 | 減少率 | 市場規模 | 年商 | 月商 | 同左増加率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2006 | 32,511 | 100.0% | 1,063,300 | 32,706 | 2,725 | ||
2007 | 31,572 | 97.1% | 1,083,400 | 34,315 | 2,860 | 1.3% | |
2008 | 30,652 | 94.3% | 1,072,000 | 34,973 | 2,914 | 1.3% | |
2009 | 29,787 | 91.6% | 1,066,700 | 35,811 | 2,984 | 1.3% | |
2010 | 29,248 | 90.0% | 1,078,500 | 36,874 | 3,073 | 1.3% | |
2011 | 28,408 | 87.4% | 1,063,700 | 37,444 | 3,120 | 1.4% | |
2012 | 27,348 | 84.1% | 1,072,700 | 39,224 | 3,269 | 1.4% | |
2013 | 26,402 | 81.2% | 1,150,600 | 43,580 | 3,632 | 1.6% | |
2014 | 25,535 | 78.5% | 1,169,600 | 45,804 | 3,817 | 1.7% | |
2015 | 24,646 | 75.8% | 1,237,300 | 50,203 | 4,184 | 1.8% | |
2016 | 24,030 | 73.9% | 1,239,700 | 51,590 | 4,299 | 1.9% | |
2017 | 23,315 | 71.7% | 1,259,311 | 54,014 | 4,501 | 2.0% | 推定 |
2018 | 22,621 | 69.6% | 1,279,233 | 56,551 | 4,713 | 2.1% | 推定 |
この表から読み取ることができるのは、店舗数の大幅な減少(過去12年間で70%に)が続いているのに、業界全体の市場規模は増加(12年間で120%)している、ということです。
つまり、1店舗の規模が非常に大きくなっていることが分かります。
以上のデータより、今後、生き残ることができる売上金額は月商で最低400万円以上、出来れば500万円以上はほしい、ということがわかります。
また店舗展開を進めるのであれば、月商1千万円の収益の上がるBusiness Modelを早期に作り上げることがポイントになります。
国内では、麺専門店が減少の一途で、生産性の高い店、利益の出易い店、将来への前向きの投資が可能な店、再投資が可能な店でなければ生き残れない構造になってきています。
なお、うどんの本場、讃岐うどんの香川県でも同様のことが起きています。
年 | 掲載店舗数 | 減少率 |
---|---|---|
2011-12 | 785 | 100% |
2012-13 | 730 | 93% |
2013-14 | 715 | 91% |
2014-15 | 708 | 90% |
2015-16 | 665 | 85% |
2016-17 | 694 | 88% |
2017-18 | 680 | 87% |
香川県においても同様の勢いで減少していることがよくわかります。
2.なぜ、うどん・そば店は儲かり難いビジネスになったのか?
30~40年前は、うどん・そば店は誰が始めても非常に儲かり易いビジネスだと言われてきました。ところが、最近ではうどん・そば店は非常に儲かり難いビジネスになってきたと言わざるを得ません。
実際、TKCのデータでは、約7割が赤字店舗。儲かっている店舗は3割だけです。
全調査数 | 黒字企業 | 欠損企業 | |
---|---|---|---|
件数 | 588 | 183 | 405 |
同左率 | 100% | 31.10% | 68.90% |
従業員数 | 15 | 20.3 | 12.6 |
売上高 | 77,089 | 121,725 | 56,919 |
同左率 | 63.30% | 100.00% | 46.80% |
変動費 | 25,906 | 39,498 | 19,765 |
同左率 | 33.60% | 32.40% | 34.70% |
固定費 | 50,840 | 79,039 | 38,098 |
同左率 | 65.90% | 64.90% | 66.90% |
利益 | 343 | 3,188 | -944 |
そして、この表を見ると売上規模の大きい方は黒字企業が多いことが分かります。
すなわち生き残るには、ある程度の売上を上げていくことが求められることが良く分かります。
3.既存うどん・そば店店主の一番の悩みは、人手不足より、お客様の減少
では、既存のうどん・そば店店主の悩みは何か?
先ほどの話にも繋がってきますが、一番の悩みは「お客様の減少」です。
総数 | そば・ うどん店 |
そば 専門店 |
うどん 専門店 |
立ち食いそば・ うどん店 |
|
---|---|---|---|---|---|
客数の減少 | 70.10% | 73.10% | 65.10% | 58.60% | 75.00% |
立地条件の悪化 | 18.00% | 19.40% | 16.30% | 13.80% | 50.00% |
人手不足・求人難 | 9.80% | 7.50% | 16.30% | 24.10% | – |
後継者難 | 7.60% | 9.00% | 4.70% | 3.40% | – |
資金調達難 | 5.80% | 6.00% | 2.30% | 10.30% | – |
人件費の上昇 | 10.10% | 9.00% | 14.00% | 10.30% | 25.00% |
材料費の上昇 | 41.80% | 44.30% | 39.50% | 37.90% | 25.00% |
光熱費の上昇 | 32.60% | 34.30% | 32.60% | 37.90% | 25.00% |
水道費の上昇 | 14.90% | 16.40% | 18.60% | 3.40% | 25.00% |
燃料費の上昇 | 27.70% | 30.30% | 34.90% | 20.70% | 25.00% |
施設・設備の老朽化 | 32.90% | 38.80% | 16.30% | 24.10% | 50.00% |
他経費の上昇 | 8.50% | 10.00% | 4.70% | 6.90% | – |
客単価の減少 | 26.20% | 27.90% | 20.90% | 10.30% | – |
その他 | 2.70% | 2.00% | 7.00% | – | – |
特になし | 4.90% | 4.00% | 11.60% | 3.40% | – |
(出所)厚生労働省健康局生活衛生課
飲食店営業(そば・うどん店)の実態と経営改善の方策よりH26.9
しかし、これは極めて不思議な話です。
なぜなら、前出のデータによると、うどん・そばの市場規模は拡大していました。
ところが、うどん・そば店の店主の一番の悩みは「客数の減少」となっています。
これは一体、どういうことでしょうか?