複合工程を行うラーメン機

ページコンテンツ

標準的なラーメンの作り方に沿って、1回目の熟成(休息・寝かせ)工程を行った場合、とても良い生地ができています。

次の工程に進むことができます。これで、麺を形にする準備が整いました。

荒成形と呼ばれる、荒いシート状の生地を作る工程

一般的な製麺工程では、生地を混ぜた後、一定の工程を経て、板状になります。ミキシングがうまくいくと、生地は、まだくずのような状態になります。

これを麺にするために、まずは生地をローラーにかけ、シート状の生地を粗くします。

この工程を「粗形成」といいます。この時点では、まだ生地はもろい状態です。

コシのある麺を作るには、生地に「複合」という工程を加える必要があります。

これでラーメン製造機のローラー間の隙間を調整することができます - ローラーの隙間は1.0mmに設定されています

まずは、生地シートを2巻のシートに分離し、同時にローラーに送り込んで1枚の生地に結合させます。

2枚の生地を組み合わせることで、生地のグルテン構造が強化され、均一に発達します。

粗成形時のローラーギャップ(2本のローラー間の隙間)は、生地の加水率によって変化します。

低加水率の麺の生地は小粒なので、ローラー隙間は狭く(1.0mm程度)設定しますが、多加水率の麺の生地は大粒なので、ローラー隙間は2.0mm程度に広げる必要があります。

生地の種類(加水率)に合った圧力をかけることで、きれいで良いシート状の生地になります。

粗成形後の生地は、グルテン組織が発達していないため、まだ固さがありません。

ローラーの隙間を徐々に狭めて、ローラーでシート化しても、グルテンの質感はでません。そのため、粗成形後の生地には複合加工を施す必要があります。

2枚の生地を合わせてローラーにかける

製麺機を使う際には、生地を粗成形した後に2枚に分け、それを麺棒に巻き取ることで、生地に適切な圧力をかけてグルテン構造を強化します。

この工程は、生地をローラーに送り込むことで実現されます。

グルテン構造を良好にするため、この結合工程は通常1~2回行われます。

結合の回数が少ないとグルテン組織が十分に発達しない一方で、結合を過剰に行うとグルテン組織が損傷する可能性があります。

良好な結合プロセスを実現するためのポイントは、結合の各ラウンドで適切なローラーギャップを設定することにあります。

ローラーの隙間を狭くしすぎると、生地に過度な負荷がかかり、グルテン構造にダメージを与える可能性があるため、注意が必要です。

ローラーの隙間は、生地の厚みの約70%程度を目安に設定すると良いでしょう。

このような技術的な調整を行うことで、製麺機を効果的に利用し、理想的な食感の麺を製造することが可能になります。

グルテン構造の適切な発達は、麺の品質に直接影響を与えるため、この工程は特に重要です。

シート操作に適したローラーギャップ

ラーメン製麺機の2本のローラー間の隙間をミリ単位で設定した数値です。

これらはあくまでも目安なので注意してください。使用する小麦粉、レシピ、その他の条件により異なる場合があります。

この表は、粗成形後の生地のローラーギャップの適切な設定を、水の比率を変えて示したものである。(単位:ミリ)

この表を見ると、生地が粗成形から合流する過程で、ローラーギャップが徐々に広がっていることがわかります。


グルテン構造を守るために生地を徐々に薄くする(元の厚さの70%)というルールに従えば、なぜここでローラーの隙間を広げているのでしょうか?

ローラーギャップを広げて生地を供給しても、生地には何の影響もないのでしょうか?

粗成形から合わせまでの生地厚みの変化(低加水麺の場合)

圧延工程の流れ

低加水麺を例に説明します。1回目の組み合わせでは、粗成形を経た生地を2枚に分けてローラーの隙間1.0mmに入れます。

つまり、1.0mmの生地を2枚同時に薄くする必要があるため、実際にローラーを通過する生地の厚さは2.0mmとなります。

2.0mmの70%は1.4mmなので、ロールギャップの設定は1.5mm(簡単のため切り上げ)とする。

2枚目のコンバインでも同様の計算をする。1.5mmに薄くした生地を2枚同時に薄くするので、実際にローラーを通過した生地の厚さは3.0mmとなる。

70%の法則に当てはめると、ロールギャップの設定は2.0mm(3.0×0.7=2.1、簡単のため切り捨て)となる。よって、上表の数値となる。

ラーメン製麺機の組み合わせ工程

実際に製麺機で行われる粗成形(ミキシング後の生地を麺帯ロールにする)や複合(麺帯同士を合体、結合)などの工程で

  1. 粗成形
    ミキシングした生地を、麺の加水率に適した厚さに設定したローラーに送り込み、粗い板状の生地を作る。生地をローラーに均等に連続投入する。
  2. シート状の生地が出てきたら、麺棒に巻き付け、ロール状の生地を作る。
  3. 1回目の組み合わせ
    生地を切り離し、別の麺棒に巻きつけて、2巻分の生地を作る(生地量はほぼ同じ)。生地の端をローラーにかける。写真をご覧ください。
  4. 2回目の組み合わせ
    1回目の複合(結合)と同じように繰り返します。

そのほかイベント情報、麺学校情報、製品情報などの最新情報をメールでお届けしております

この記事をお読みのみなさまへ

この記事で取り上げている内容で、ご不明点や直接お聞きしたいことなどがあれば、お気軽にお尋ねください。

後日、ご回答させて頂きます

また、この記事で取り上げている内容でご不明点やご質問があればお気軽にお尋ねください

ロッキー藤井の情熱メルマガ【毎週配信】

まずは無料のメルマガ購読からスタート

Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

関連記事

ラーメン製麺機で香港ワンタン卵麺を作る

美味しいラーメンを作る最適な方法とは?

水と小麦粉を均等に混ぜる

【麺質を左右する】ラーメン生地の最適なミキシングのやり方

【プロが実践する】ラーメンの正しい茹で方

シート状にした麺帯を熟成させる

美味しいラーメン生地を作るための2回目の熟成

ラーメンの材料 - 小麦粉

ラーメンの具-かん水など

ラーメンスープに用いるための元ダレ

【元ダレとは?】ラーメンにおける役割と種類、材料について