世界一のヴィーガンレストラン「菜道 – saido」にヴィーガン料理の可能性を学ぶ 『ヴィーガン』を取り巻く市場とその価値 大抵の人が、『ヴィーガン』という言葉を耳にしたのはここ数年の話ではないだろうか?当初は「ただの流行りモノのひとつ。すぐに廃るだろう。」という意見も多く耳にしたと思うが、『ヴィーガン』はそういう性質のものではないということがよくわかってきた。いわゆる”ただの流行りモノ”と『ヴィーガン』の違いはその背景にある。「なんとなく良さそうだから」,「目新しいから」,「みんなやってるから」といった、芯がない動機で盛り上がっているものを”ただの流行りモノ”とした場合、対する『ヴィーガン』には環境問題,宗教,政治,アレルギーや病気,アイデンティティといった様々な背景も絡んでいて、そのどれもが強烈だ。世界のベジタリアン人口は1998年から2018年にかけて、全体の上昇数はほとんど横ばいに近いのだが、アジアでは11%増,アフリカでは56.7%増,中でもアメリカは強力なヴィーガニズムの影響もあり94.6%増と、数字で見ても大きな変動を見せている。『ヴィーガン』は決して”ただの流行りモノ”ではない。これからも拡大していくであろう『ヴィーガン』市場に対して麺人達が迷わぬよう、当社は『ヴィーガン』の理解を深め、対応していかなければならないのである。 世界の麺業界を支援する「大和製作所」 × 世界一のヴィーガンレストラン「菜道 – saido」 日本のヴィーガン第一人者「フードダイバーシティ」 「菜道 – saido」はヴィーガン・ベジタリアンに最も利用されているレストラン情報サイト[HappyCow]にて、世界中の11万店を超えるレストランの中からベストヴィーガンレストランで1位の評価を獲得した、まさにヴィーガン世界一の名店である。大和製作所は今回、その「菜道 – saido」のチーフシェフである楠本氏、そして、日本でヴィーガン・ハラルをはじめとした様々な食情報の発信と支援を行う「フードダイバーシティ」創業者の守護氏をお招きしてヴィーガンセミナーを開催した。世界が注目するヴィーガン市場ついて日本代表とも言うべき両者を招いて開催したセミナーには、多くのメディアが駆け付けた。 報道陣に囲まれながら試食の調理を行う楠本氏。弊社のキッチンはかなり広いレイアウトであると思うが、撮影に困難するほど多数のメディアが駆け付けた。 守護氏は昨年末、食の多様性の重要性について菅総理大臣へ直接プレゼンを行う等、日本のハラル・ヴィーガンをはじめとする食情報発信の第一人者である。 守護氏に学ぶ「ヴィーガン・ハラルマーケットの重要性と戦略」 守護氏によるセミナーは、ヴィーガン・ハラルが展開するマーケットの大きさとその重要性、ヴィーガン・ベジタリアン・ハラルに持つイメージや外人の求める”和食”のイメージに対するギャップ、ヴィーガン商品を如何にして売り込むべきか、といった非常に実践的な内容に重点を置かれていた。当社のヴィーガン・ハラルに対する様々な認識を大きく改めさせられるものであった。 守護氏によるセミナーの様子。日本人の持つ先入観と世界の現実にいかにギャップがあるか、ハッと気付かされるような講義であった。 楠本氏に学ぶ「ヴィーガン料理に秘められた可能性」 楠本氏にはご自身の様々な体験談をベースに、肉・魚・乳製品・酒、更には五葷(※1)を使わず如何にして”旨い”料理を作るか、日本と世界の食文化に対する意識や考え方といった、こちらも非常に実践的で、話の節々に楠本氏の料理・お客様に対する愛情を感じ取れるユニークな講義をしていただいた。セミナー当日には、菜道で実際に提供されているヴィーガンメニューとしてラーメン・油そばの試食会があったのだが、「これバターの味しますよ!本当に入ってないんですか?!」「ホントは五葷入ってるんじゃないの?!」といった声が報道陣と当社スタッフの間で飛び交った。(あっという間に試食は無くなってしまった。)当社も近年ヴィーガン商品の開発・研究に力を入れているが、代表の藤井も「五葷を使わないでこの味が出せるのはすごい」と絶賛するほど衝撃的なヴィーガン料理であった。※1…五葷(ごくん):道教(ブッディズム)において避けられるニオイの強い食材。「ニンニク・ニラ・らっきょう・あさつき・玉ネギ/ネギ」等を指すが、その他にアギ(アサフェティダ)、ギョウジャニンニク等が含まれることもあり、時代・地域によって扱いは異なる。 楠本氏の料理にはヴィーガンのイメージを覆す”ジャンク”なものもある。今回試食した油そば・ラーメンの”ジャンクな旨さ”には報道陣も当社スタッフも驚愕した。 楠本氏も戦慄した大和の分析技術 前述の通り、当社もヴィーガン商品を絶賛開発・研究中である。今回のセミナーに際し、楠本氏が来ていただけるならこんなチャンスは無いと、セミナー前日に開発途中のヴィーガン商品を試食してもらい、感想とアドバイスをいただいた。しかし、楠本氏が特に衝撃を受けたのはこの翌日である。当社の食品研究部スタッフが試食いただいた商品を味覚センサーにかけ、味を数字化したグラフを楠本氏と守護氏にお見せすると「こんなの使われたら全部丸裸にされちゃうじゃん…持ってきた食材隠さないと…」と戦慄。食品研究部スタッフがそのグラフに基づいて当社商品の課題の考察を伝えると、楠本氏からも更なる意見やアドバイスをいただくことができた。このようなデジタルクッキングの思想は当社の重要な要素のひとつであり、その技術とノウハウはやはり強力な武器であると改めて認識できた。 当社の味覚センサーで分析した開発中かけ出汁と使用食材の味のグラフ。上図ではオレンジ軸と比較して、青軸は酸味が強すぎることがわかる。 味覚センサーの分析結果に驚愕する楠本氏と守護氏。使用した食材は研究用として一部を除きほとんど提供していただけた。 大和製作所の使命と学びの融合 当社は“麺ビジネスの成功を通じてお客様の幸せに貢献する”をポリシーに様々な麺業界の支援活動を行ってきた。大和麺学校では何年も前から”ベジポタ”をはじめとした野菜だけのスープ講習を行う等、『ヴィーガン』や『ハラル』をかなり意識してきたが、今回のセミナーによってより複雑で非常にレベルの高い学びと繋がりを得ることができた。当社の開催する大和麺学校やWebセミナー等を通じて、より一層本格的な『ヴィーガン』『ハラル』との向き合い方をお客様にお伝えし導いていくことが当社の使命である。 大和麺学校についての詳細はこちら 食品研究部の分析を支える味覚センサー技術