「儲かる業種は他にあるから そっちの方がいい」と藤井社長が言い放ったんです(笑)
僕はそもそも、うどんそのものの勉強が目的で、うどん学校に通っていたんです。藤井社長が「儲けようと思って麺ビジネスをやるのならば、儲かる業種は他にあるからそっちの方がいい」なんて大真面目に言うものだから「これからうどん屋を始めようという人間の前で、なんてことを言う人だろう?」と内心驚きました。 でも、講義を聞いているうちに藤井社長の真意が伝わってきたんです。うどん屋を通じて社会に貢献したいという熱意があるのなら、大和は協力を惜しまない」という熱い気持ちがビシビシ伝わってきて、僕の経営意欲に火がついたのを覚えています。僕の前職は金融機関で、長い間県外で働いていました。商売されている方ともたくさんお付き合いしてきましたので、この経験を活かして、何とか故郷の淡路に貢献していきたいという強い思いがあったんです。
この思いと、社長の考え方がまさにガシーンと合致したわけで「この社長の言うとおりにやったら、自分が思い描くビジネスができるのではないか」、そう思った瞬間、感動で鳥肌が立ったものでした。
やったことがないのに、考えられるわけがない 頭で考えるよりも、とにかく行動することが大事
僕は成功した人の本をよく読みます。そこに共通しているのは「とにかく行動する」ことが大事だということなんです。行動して、うまくいかなかったらそこで考えればいい。自分が諦めない限り、ストーリーはずっと続くのだから、紆余曲折はあっても前進することはできる。あれこれ考えてスタートを切らないよりずっと成長できると思うんです。第一、やったこともないのに考えられるわけがありませんよね。だから僕は、友人のつてを頼ってうどん学校の門をたたいたのです。 僕自身は飲食店の経験はゼロでしたが、出汁の取り方からお客様に対する考え方まで、一から叩き込まれました。 普通、素人がうどん屋をやろうとしたら、弟子入りして10年以上は修行する必要があるでしょう。まさに職人の世界で、一人前になって独立できる頃には40代・50代になってしまっているのは当たり前。 僕にはこの時間がとても惜しく感じました。淡路に貢献できるのがそれだけ遅くなってしまうからです。その点、大和さんの製麺機を使えば、明日にでも美味しいうどんが出せるのです。この製麺機はすごいですよ、下手な手打ちうどんよりも数段美味しいんです。いや、本当に。この、製麺機という頼もしいパートナーと出会えたからこそ、僕の店はこんなにも早くスタートが切れたわけです。「淡路島をもっと元気に」がコンセプト
独自のメニューを提供しながら、淡路の食材の美味しさを発信
うちのコンセプトは、ずばり「淡路をもっと元気に」です。そのためにまず、地元の食材にこだわっています。普通、肉うどんは豚ですよね?牛は高いから。でもうちの肉うどんは淡路牛なんです。また、淡路は玉ねぎが美味しいので、カレーうどんにはたっぷりの玉ねぎをソテーし、甘みを十分に引き出して使っています。玉ねぎを沢山食べてほしいあまり、巨大になってしまったかき揚げも名物なんですよ。
このように地元の素材にこだわることは、他にはない独自のメニュー開発につながります。しかも淡路の食材の美味しさを多くの方に実感いただくことになり、それがひいては淡路の農業や漁業、畜産などの活性化につながれば本当に嬉しいですね。何しろ、淡路は震災で大きな被害を受け、皆さん本当に苦労して淡路を守ってきたのですから。これからもアナゴ、イカナゴなど、淡路の美味しい食材をどんどんメニューに加えていこうと思っています。それが、僕の使命だと感じているんですよ(笑)。
お客様に元気になっていただけるような心から喜んでもらえるサービスを
それと、もうひとつ。お客様を元気良くお迎えし、食事を終えて帰る頃には気分もすっきり、元気になっていただけるような接客も徹底しています。こちらから声をかけたり、お帰りの際には「行ってらっしゃいませ!」と送り出したり。もしも寒そうにしているお客様がいれば、ひざかけを用意したりもします。大手ではこういうサービスは回転率が悪くなるなどという理由で敬遠されるんですが、うちはゆっくりくつろいでもらっています。
実は店の周囲5km圏の人口は、わずか17,000人なんです。これだけの人口でも平日に300人以上の来店があるのは、それだけ何度も足を運んでくれるお客様がいるということ。心から喜んでもらうことで繰り返し来てくれるお客様をコツコツ増やしていけば、こんな田舎でも商売はできると確信しています。
2店目はうどんカフェに挑戦
東京中に淡路の良さを広めたい
2店目はカフェスタイルを検討しているんですよ。うどん居酒屋はすでにちょっと”キテ”いますが、あえて居酒屋ではなくカフェスタイルに挑んでいます。うどん屋は13時を過ぎると客足が止まるんです。特に淡路みたいな田舎ではピタッと止まってしまう。そこで、女性のお客さんに来てもらえるよう、お洒落なソファを置いてセンスの良い空間でゆっくりコーヒーやスイーツを楽しんでいただこうと。
このスタイルが成功すれば、都会ならもっと需要が生まれると思うんです。ここでノウハウをしっかり煮詰めて、将来的には東京進出を狙います。淡路をコンセプトにした店を東京中に広めることで、淡路をもっともっと元気にするのが狙いです。
これは決して夢物語ではありません。きちんと練り上げた事業計画なんです。何しろ、淡路の未来を自分がしょっているつもりですからね(笑)。でも、この計画を実現していく過程で、おそらく僕の会社は上場することになるでしょう。そうなると、僕はまたゼロから会社を作ってまた違うことをしていくだろうなと思っています。人を育て、お客様に喜んでもらって、それが結果的に社会の役に立つ、そんなお金儲け以外の醍醐味を、一生涯追い求めたいからです。